歯磨きの回数とタイミング

理想的な歯磨きの回数は、食べた回数です。1日3食の場合は3回で、間食を含めて4回ならば4回歯を磨きましょう。それに加えて、寝る前や朝起きたときなどに磨いても構いません。

歯磨きのタイミングは基本的には毎食後で、間食をすればその後もしましょう。
中には、起床時に歯磨きをするという人もいます。寝ている間に口の中で細菌が繁殖して増えているので、起床時に歯を磨くのもよいでしょう。ただ、起床時に磨いたからといって、朝食後に磨かなくてもいいということはありません。朝食後もきちんと磨きましょう。
朝の忙しいときに2回も歯磨きしている時間がないという場合は、起床時の歯みがきをうがいに代用してもよいでしょう。

正しい歯の磨き方

ここでは、正しい歯磨きの方法を解説します。

歯ブラシの当て方

歯ブラシの毛先は、歯に直角になるように当ててください。特に、歯と歯茎の境界付近や、歯と歯の間を意識して当てましょう。
当てるときの力は、毛先が広がらない程度の軽い力が理想的です。そして、5mmほどの小さい幅で小刻みに歯ブラシを動かしてください。

歯の種類別の磨き方

前歯を磨くときは、歯ブラシを縦に当てると磨きやすいです。
奥歯を磨くときは、歯の並びに沿って歯ブラシを入れるのではなく、歯ブラシを45度ほどの角度で外側から入れると磨きやすいです。
歯と歯茎の境界付近、つまり歯の付け根を磨くときには、歯ブラシの毛先が45度くらいの角度になるよう、少し寝かせるとよいでしょう。

歯ブラシを選ぶポイント

スーパーやドラッグストアに行くと、たくさんの歯ブラシが売られており、どれを選んでよいか迷った経験があると思います。ここでは、歯ブラシを選ぶポイントを紹介します。

毛先の大きさ

歯ブラシを選ぶ上で大切なのが、ヘッド部分、つまり毛先の大きさです。
一般的には、上顎の真ん中の前歯2本分の幅が適しているといわれています。ただし、より細かく磨きたい方、もしくは奥歯を磨く際にえずきやすい方は、よりコンパクトな毛先の歯ブラシでも構いません。

毛先の硬さ

歯ブラシの硬さには、硬め、普通、柔らかめなどがありますが、普通と柔らかめの2種類から選ぶのがよいでしょう。
一般的には普通が適しています。しかし、歯周病がひどく、歯茎が腫れて磨くと痛いという方は、ソフトタイプを選ぶといいでしょう。

持ち手の形

歯ブラシの持ち手の形、つまり柄の形状は、細めより太めの方が握りやすいです。しかし、歯磨きのときに力が入り過ぎてしまうような方は、反対に細いものにして力を入れにくくする方がよいでしょう。

歯磨き粉を選ぶポイント

ドラッグストアではいろいろな種類の歯磨き粉が発売されており、選ぶときに迷ってしまいます。そのようなときは、歯磨き粉の効能で選びましょう。

虫歯予防

虫歯予防をしたい場合は、フッ素が入っている歯磨き粉がおすすめです。
特に、最近になって発売が承認された高濃度フッ素入りの歯磨き粉が効果的です。従来は1000ppmまでしか認められていなかったフッ素濃度の上限が高められ、国際標準の1500ppmが上限値となったことにより、発売されるようになりました。
虫歯予防の効果が高いのですが、高濃度なので6歳未満のお子様には使用することができませんのでご注意ください。

歯周病予防

歯茎が腫れたり、歯が動いたりするなどの歯周病症状に悩まされているなら、歯周病予防効果のある歯磨き粉がよいでしょう。
歯周病予防の薬効成分として、以下のようなものがあげられます。
・歯周病菌を殺菌する:塩酸クロルヘキシジンやイソプロピルメチルフェノール
・歯茎の炎症を抑える:β-グリチルリチン酸やイプシロン-アミノカプロン酸やトラネキサム酸
・歯垢を溶かして取り除く:ポリリン酸ナトリウム、歯茎の血行を良くする酢酸トコフェロール

歯周病予防の歯磨き粉では、これらの薬効成分を組み合わせて複数配合しているものがほとんどです。

知覚過敏予防

知覚過敏で悩んでいる場合は、知覚過敏予防効果のある歯磨き粉がよいです。
知覚過敏を防ぐ薬用成分は、硝酸カリウムや乳酸アルミニウムです。こうした薬効成分が含まれている歯磨き粉を選ぶようにしてください。フッ素などほかの薬効成分が組み合わされて配合されているものでも大丈夫です。

着色予防

歯の汚れが気になる場合は、着色予防効果のある歯磨き粉を選ぶとよいでしょう。
ホワイトニング効果とうたっているものが大半ですが、正確にはホワイトニング効果のある薬剤を配合することは認められていませんので、着色汚れを取り除くことで歯を白くする歯磨き粉です。
マクロゴール400やポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコールなどの薬効成分で歯の汚れを溶かして除去しやすくしています。
このような歯磨き粉は、研磨剤にLime粒子やサンゴパウダーなどいろいろな成分を含み、着色予防効果を高めていることが多いです。

組み合わせたいデンタルケア

歯ブラシだけは隅々までなかなか磨ききれません。そこで、歯ブラシ以外の道具を組み合わせて効果的にデンタルケアをしましょう。

歯間ブラシ

歯と歯の間が比較的広い方やブリッジという被せものが入っている方は、歯間ブラシが適しています。
歯間ブラシは、製品によってSSSからLまで4〜5種類ほどの太さがあります。太すぎるものを入れると、歯茎を傷つけることがありますし、細過ぎると汚れが取れません。
どの太さが適しているのかわからないときは、歯科医院で相談しましょう。

デンタルフロス

デンタルフロスとは、いわゆる糸ようじのことです。
歯と歯の間に糸を挟んで、間に残った食べカスなどを取り除きます。
糸だけのものもあれば、ハンドル付きの使いやすいタイプもあります。糸だけのタイプは最も低コストですが、糸を指に巻き付けて歯と歯の間に入れるのが難しいという方もいるでしょう。その場合はハンドル付きのものを選んでください。
なお、糸だけのデンタルフロスは使い捨てですが、ハンドル付きのデンタルフロスは多くの場合、洗って何度も使えます。
使い方がよくわからない、入れるコツがつかめないという方は歯科医院で相談するとよいでしょう。

おわりに

食事をした後は、必ず歯を磨きましょう。
一口に歯磨きといっても、歯ブラシの選び方から、歯ブラシの使い方、歯磨きのタイミング、歯磨き粉の選び方など、意外と奥が深いものです。
これまで歯ブラシや歯磨き粉の種類を気にせずに選んでいた方は、今回の記事を参考にして、ご自身の歯磨きを見直してみてはいかがでしょうか。

監修

・日本口腔外科学会専門医、日本口腔科学会認定医 見立英史

・日本口腔外科学会専門医、日本口腔科学会認定医 見立英史

専門分野
歯科、口腔外科

経歴
九州大学歯学部卒業。2003年歯科医師免許取得。2009年博士号(歯学)取得。九州大学病院顎口腔外科医員。2011年医療法人仁慈会西原歯科勤務。2013年九州大学病院顎口腔外科助教。2016年福岡歯科大学口腔外科助教。2018年長崎大学病院 顎口腔再生外科

資格
歯科医師免許
日本口腔外科学会専門医
日本口腔科学会認定医

所属学会
日本口腔科学会
日本口腔外科学会
日本口腔腫瘍学会

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