はじめに

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またまた前回の記事からお時間をいただいてしまいました、自身の動物病院以外の事業もスタートし、なかなか記事を書く時間を確保できず、完全に私事ですね。。。、本当にごめんなさい。言い訳ですにゃー(ペルシャ猫の八太郎)!

今回のテーマは「犬猫や子供は親に似る?? 人が子供や動物に与える影響と絆」です。いつものテーマとは異なり、科学的な裏付けや証明がまだ研究段階ではありますが、動物病院で飼い主様達と接していて実感できることのため、今回お話させていただきます。

現在私は福岡で動物病院を開院し、多くの飼い主様とお話させていただき、病気で悩むワンちゃんネコちゃん(時々ウサギさんやハムスターさん)の課題や飼い主様が抱えるペットライフのお悩みの解決に取り組ませていただいています。

また勤務医時代は東京で評判の動物病院にて診察させていただき、のべ1万人以上のペット飼い主さんやワンちゃんネコちゃん達と接してきました。動物病院には色々な方がいらっしゃいます、皆さんが動物病院へ来られる理由も様々です。

話を聞いてもらいに訪れる

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勤務していて感じるのが、動物病院へ来る理由の一番の理由が「話を聞いてもらいたい」でした。
病気で不安でうちのワンコは大丈夫か?
うちのニャンコは病気なのだろうか?
子供が産まれるので、今暮らしている犬と上手くやっていくにはどうすれば良いか?
近所のスーパーの特売の卵は、品質をどう思うか?(本当にあった話です)
等々

来る人も様々であれば連れてくるワンちゃんネコちゃんも様々です。
動物病院が大好きでしっぽブンブンの子
外出が怖くてびくびくした怖がりの子
前に嫌なことがあったのかシャーシャー怒っている子
等々
ある意味、動物病院は様々な人間模様(動物模様?)を見ることが出来る場所かもしれません、動物は人間の言葉を話せないことがほとんどですので、我々獣医師は動物達のささいな変化も見逃さないように、より注意深く観察をしなければなりません。

動物の性格は飼い主に似る?

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そんな注意深く見る診察をしているうちに私がふと感じたこと、それは「飼い主さんの性格にワンちゃんネコちゃんの性格が似ている」ということです。
現在当院にご来院いただいているノルウェージャンの猫ちゃんは、のんびり穏やかな性格なのですが、飼い主さんものんびり穏やかな性格の方です。
他方、非常にはきはきしてきっちりした性格の飼い主さんと暮らされているトイプードルのワンちゃんは、しっかり飼い主さんの言うことを聞いて、診察中もきっちりしています。

すべてのワンちゃんネコちゃんがそうとは言えませんが、飼い主さんの性格(中には外見もという方も)に似ているというワンちゃんネコちゃんが多いと感じます。

ここで科学的なお話を少しだけご紹介します。
2019年に論文として発表された最新の研究として、実際にイヌは飼い主と似るという外見ではなく性格の類似性に関する研究が発表されました。米ミシガン州立大学の社会心理学者、ウィリアム・J・チョピク氏が主体となってされた研究で、1681匹のイヌの飼い主たちに、自分自身の性格と飼い犬の性格について、質問票に記入してもらう形で行われました。

その結果、イヌと飼い主は、性格の特徴が似ていることが分かりました。
例えば、協調性が高い人は、攻撃的ではないが活動的で興奮しやすいワンちゃんを飼う傾向が、ほかの人の2倍多かったそうです。また、誠実な性格の飼い主は飼い犬について「よく訓練されている」と評価し、神経過敏な飼い主は「自分の犬は怖がり」とする傾向があったとの研究報告がありました。

ではなぜそうなるかと言いますと、論文の著者のチョビク氏は「人がイヌを迎えるとき、無意識に自身の生活リズムに適応できそうなイヌに惹かれる傾向がある」と、推測しています。
人でも友人や一緒にいる人が、フィーリングが合ったり自然体で過ごせることありませんか?(我が家のペルシャ猫、八太郎さんは空気みたいに当たり前にいる存在になりつつあります)
人間は意識してか無意識のうちに、自身のライフスタイルに合ったワンちゃんネコちゃんを選んで、自身と似たものをそばに置くことで安心感や互いに支えあっているのかもしれません。

刷り込み効果と性格への影響

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また一緒に暮らし始めてからもワンちゃんネコちゃんの性格には、トレーニングなどの訓練や日々の関わり合いの中で、人がワンちゃんネコちゃんの行動を作っていきます。一緒に暮らす人によって、ワンちゃんネコちゃんの性格も影響を受けていくということです。
これは人間の子供が育てられる親や育つ環境によって、価値観や性格がそれぞればらばらで、将来大人になった時に全く違う個性を持った人間たちになるのと、同じことが言えるでしょう。
人で良く言われる「刷り込み効果」もあるかと思いますが、子供は親の背中を見て育つ、親と子が似てくるというのも、あながち人間だけの話ではないかもしれませんね。

ここで大切なペット暮らされている皆様へ、動物病院に来られる際のアドバイスをお伝えします。この意見を言うと他の獣医師達から科学的でないなどと言われることもありますが、飼い主さんの緊張はペットにも伝わることが多いです。
皆さんが誰かをケンカをした時に、ワンちゃんが仲介に入ったという話も、このことを証明することだと言えます。我々獣医師が一番避けたいことの一つとして、飼い主さん自身の緊張がペットに伝わり、攻撃的になったり怖がって暴れてしまう・興奮してしまう、緊張して症状を隠してしまうことです。
こうなりますと治療が適切に行われなくなり、誤診や判断ミスを引き起こしてしまう可能性が高くなります。

人の緊張も動物に伝わる

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緊張し過ぎていると終わった後に「あっ、あれ言い忘れていた!」とうっかり思い出す経験ありますよね?
病院や動物病院に行くと多少なりとも緊張すると思いますので、緊張しないでという方が無理があると思いますが、動物病院や病院に行く際は事前に症状や気が付いたことをメモしてから行かれた方が、抜け漏れなく適切に診察してもらえると思います。
結果として病院に行く回数を減らせますので、緊張する回数を減らすことも出来ます。

私の病院では待合室をハワイのカフェをイメージした内装にしており、ペットオーナーの皆さんに出来るだけリラックスしていただけるような環境創りを目指しています。
是非一度遊びに来てください。


まとめ

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今回は「犬猫や子供は親に似る?? 人が子供や動物に与える影響と絆」というテーマで、人と動物が影響し合うことについてお話しさせていただきました。今回の内容はまだ研究段階であるテーマでしたが、日頃私がペットオーナーさんと向き合っていても日々実感できることですので、今後様々な形で研究が進み解明されていくと思います。
皆さんにとってすでに大切な家族であるペット達をじっと観察してみてください、ふとした仕草やまっすぐ見つめてくる瞳は、皆さんやあなたの親しい人にそっくりかもしれませんよ。
今回もお付き合いいただき誠にありがとうございました、次回は「犬猫との安全な距離感 人も動物も健康に過ごすために」でまたお会いしましょう。

今回の八太郎
おいら最近ご主人にそっくりと言われますにゃ(八太郎)

プロフィール

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獣医師:徳永秀さん
 
マハロ・ペットワークス 代表獣医師
リライフアニマルクリニック 院長
 
ペット栄養管理士(ペット栄養学会認定)
ペットフード販売士(一般社団法人ペットフード協会認定)
 
動物病院で獣医師として三年半で1万頭以上の犬猫と向き合い、 全国の動物病院やペットオーナー向けの専門商社や事業会社にて、数々の新商品や新規サービスを開発する。

現在は独立し獣医師、ペルシャ猫八太郎の1飼い主としての両方の視点から、 複数の企業の動く顧問として動物病院やペットオーナーにより良い商品やサービスを提供するために奮闘中。

動物系の大学や専門学校にて外部講師をつとめ、学生時代に子供に対するホースセラピーボランティアをきっかけに、動物が与えてくれる人への影響について独自に研究中。

https://relife-animal.com

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