はじめに

近年ではどこへ行っても「禁煙」を掲げる店が多く、喫煙したいときにタバコを吸えない環境が広まりつつあります。また「分煙」を実施している店も少なくはありませんが、喫煙者としては肩身が狭いと感じる方も多くいらっしゃるでしょう。そのため、近年では禁煙する人が増えています。しかし禁煙したくてもできないという人も多いのも事実です。「禁煙すると太る」というのも、禁煙できない理由の1つにあるでしょう。

最近では自身のプロポーションを気にしたり、健康管理のために体重を増加させたくないと考える人も増えました。そのため、中には「禁煙すると太る」から禁煙できない人もいます。でも、「禁煙すると太る」って本当なのでしょうか?禁煙で太る理由や対策を一挙にご紹介します。

禁煙は太るって本当?

禁煙すると太るというのは、ずばり本当です。ただし、必ずしも全員が太るというわけではありません。しかし、実際に禁煙した人は2~4kgほど体重が増えたという人がいるとのデータもあります。もちろん、男女差や個人差も往々にしてありますが、やはり禁煙すると太ってしまう人が多いようです。

禁煙で太る理由

禁煙で太る理由には「ニコチン」が第一に挙げられます。「タバコを吸うとホッとする」「喫煙している間は気分が良い」と感じることはありませんか?これはこのニコチンのはたらきによるものなのですが、このときニコチンは脳にあるニコチン受容体と結合して、快感を感じさせる「ドパミン」や「セロトニン」という物質を大量に放出させます。

このために喫煙者はタバコに依存してしまうようになるのですが、ニコチンには、脳の視床下部を刺激して食欲を抑えるはたらきもあります。そのため、喫煙中は知らず知らずのうちに食欲が抑制されているのです。しかし禁煙することでニコチンが体内に取り入れられなくなると、今まで抑えられていた食欲が通常に戻ります。そのため、禁煙したとたんに食欲が今までよりも増加し、食事の量が増えることで太ってしまうのです。

また、喫煙することで体内に「活性酸素」が増えますが、これは体内の「亜鉛」を消費します。亜鉛は味覚に深く関係があり、不足することで食べ物をおいしいと感じられなくなることがあります。これは味覚障害の1つなのですが、喫煙者には多く見られます。これもまた禁煙することで、体内での活性酸素が減り、亜鉛の量が正常に戻り、食べ物をおいしいと感じられます。これも、禁煙すると食べものを食べたくなり、太ってしまう原因の一つとされます。

禁煙で太る期間

禁煙で太る期間はずっとは続きません。一時的なことがほとんどで、個人差もありますがだいたい約1年以内とされています。ですが中には数か月で落ち着く人もいれば、2年たっても食欲が落ち着かないという人もいます。平均で約1年、多くは数か月以内に落ち着くことが多いようです。

禁煙で太る対策!禁煙太りを防ぐには?

禁煙した後はどうしても食欲が増してしまうので、食べる量が増えます。ですが、太る対策をすれば禁煙太りを防ぐことができます。その対策をご紹介します。

摂取カロリーに気を付ける

まずは食事の摂取カロリーに気を付けましょう。喫煙中はタバコの影響により腸内環境もあれてしまい、腸内細菌の種類が減っています。ですが禁煙することで本来の健常な腸内環境になるため、喫煙時と比べてより多く食べたものを脂肪として蓄えることが分かっています。そのため、喫煙時と同じように食べていては太ってしまいます。禁煙したら喫煙時よりも少しだけカロリーを控えめにするように心がけましょう。

とはいえ、どうしても食欲は増すので、食事量を減らすことは難しいと思います。そのため、量自体を減らすのではなく、食物繊維を多く取り入れたり、味付けを薄めにする、肉料理より魚料理を選ぶなど、日ごろの食生活を少しずつ工夫してみましょう。

食べる順番を意識する

次に気を付けたいのが食べる順番です。順番としては汁物→食物繊維→タンパク質→炭水化物の順に食べるとダイエットに効果的です。

最初に汁物を飲むことで、水分でお腹を膨らますことができ、全体的な満腹感を得ることができます。次に野菜や果物など食物繊維を食べることで、血糖値の上昇を緩やかにします。さらに脂肪の吸収も抑える効果があるので、食物繊維を先に食べることは一石二鳥だと言えます。

その次はタンパク質です。肉類や魚類などのメイン料理は食物繊維を十分にとってから食べるとよいでしょう。

そして最後に炭水化物です。これはご飯やパンなどの主食です。炭水化物を食事の最初の方に食べると、血糖値が上昇しやすく、脂肪がつきやすくなります。そのため、炭水化物はできるだけ最後に食べるようにしましょう。

この順番を守るだけでも、禁煙太りにはかなり効果がみられます。どうしても食事の内容を変えられない人は、ぜひこの順番だけでも守ってみましょう。

口さみしいときは温かい飲み物を飲む

今まで喫煙していたのに急に禁煙すると、やはり口さみしくなります。そんなときにガムや飴などを口にするとやはり太りやすくなる原因となります。それよりは温かい飲み物で口や胃を温めて、口さみしさを紛らわしましょう。温かい飲み物はリラックス効果も得られるので効果的です。

適度に運動をする

適度な運動は太らないためにも大切です。できればウォーキングやスイミング、ヨガなどの有酸素運動が良いでしょう。有酸素運動はその名前の通り酸素を体内に取り込み、エネルギーを生み出します。こうして酸素を体内に取り込むと、脂肪を燃やしてエネルギーを生み出します。

有酸素運動のし始めは脂肪ではなく糖をエネルギー源としており、脂肪をエネルギーとして燃焼し始めるのは、大体有酸素運動を開始してから20分程度してからといわれています。そのため、より効果的に禁煙太りを解消するには20分以上の有酸素運動をすることがよいとされています。

おわりに

喫煙中は常にニコチンが体内にあったのに対し、禁煙するとニコチンがなくなるため、どうしても食欲が増したり、食事が楽しく感じるためたくさん食べがちになってしまいます。でもこれは正常な反応なのです。そしてそれもずっとは続きません。しかし太りやすくなって悩んだり、「太るくらいなら禁煙したくない」という人もいるかもしれません。そんな人でも、日常生活にちょっとした工夫や運動などを取り入れることで、禁煙太りを防ぐことができます。

喫煙は身体に多くの害を及ぼします。太らない工夫をしながら禁煙をしてみませんか?禁煙はあなたの身体にたくさんの有益をもたらします!

監修

・総合診療医 院長 豊田早苗

・総合診療医 院長 豊田早苗

専門分野 
総合診療医

経歴
鳥取大学医学部医学科卒業。2001年 医師国家試験取得。
2006年とよだクリニック開業。
2014年認知症予防・リハビリのための脳トレーニングの推進および脳トレパズルの制作・研究を行う認知症予防・リハビリセンターを開設。

資格
医師免許

所属学会:総合診療医学会、認知症予防学会

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著者

ケアくるLINE@