はじめに

バストアップに効果的なトレーニングとして腕立て伏せがあることは有名ですが、運動習慣のない多くの女性にとって腕立て伏せを行うことはハードルが高く、正しいやり方がわからなかったり、やろうと試みても1回もできずに断念してしまう方が多いのではないでしょうか。
そこで、今回は初心者から上級者までバストアップに役立つような腕立て伏せをご紹介しようと思います。

腕立て伏せのやり方

まずは、基本的な腕立て伏せのやり方からご紹介します。
1. 手を肩幅より拳2つ分広く胸の前につき、肘を伸ばす。
2. 足は腰幅に開き、つま先だけが床につくようにし、膝を伸ばした状態にする。
3. 体を横から見たときに、頭、肩、股関節、足が一直線になるようにする。
4. 肘を曲げながらゆっくりと体を床に近づけ、頭や胸が床ギリギリまでいったら肘をゆっくりと伸ばしながら元の体勢に戻る。
5. 4の動きを繰り返す

腕立て伏せのコツ

トレーニングに慣れていない女性では、前に述べたようなノーマルな腕立て伏せを1回行うのも難しい方がたくさんおられると思います。
間違ったフォームで行ったり勢いで強引に腕立て伏せを行うと、効果がないだけでなく怪我の原因にもつながってしまいます。
そこで、ここではノーマルな腕立て伏せの前にご自身の筋力に合わせて行えるものをご紹介します。

1.膝立て腕立て伏せ

基本的な腕立て伏せが難しい方が、少しだけ負荷を減らす方法として膝立ての腕立て伏せがあります。
本来はつま先だけを床につけて行うのに対し、膝を曲げて、膝から足先の全体が床につくようにして行います。
このとき、お尻だけが上に飛び出てしまうことが多いので、頭、肩、股関節、膝が一直線になるように気を付けて行いましょう。

2.腕立て肢位の保持

膝立て腕立て伏せもまだ難しいという方は、腕立て肢位の保持をするところから始めてみましょう。
ノーマルな腕立て伏せのスタートの肢位、もしくは膝立て腕立て伏せのスタートの肢位を10秒程度キープし、それを3~5セット繰り返しましょう。

3.斜め腕立て伏せ

床での腕立て肢位の保持が難しい方は、体の傾きを少なくして練習します。
体重をかけても動かないような重さのある机やキッチンの調理台の端に両手を置き、肘を伸ばします。
直立より少し前に傾くように足を後ろに引き、手に体重がかかるようにします。
その斜めの状態で腕立て伏せを行います。
このときの姿勢は基本的な腕立て伏せの1~3と同じになるようにします。

種類別腕立て伏せ

先ほどは、基本的な腕立て伏せのやり方についてご説明しましたが、腕立て伏せではたくさんの種類の筋肉を使っているため、フォームを少しずつ変えることでより鍛えられる筋肉が変わってきます。
そこで、ここでは腕立て伏せの種類ごとにどこの筋肉が鍛えられやすいのかご紹介していきます。
ご自分が鍛えたい筋肉によってフォームを変えていただければと思います。

1. ワイドプッシュアップ

ワイドプッシュアップは、両手を床に置く位置がノーマルな腕立て伏せよりも広くセットされるものです。
肩のラインの真横で、肩幅の2倍くらいの幅をとって両手を置きます。
そこから肘を曲げて体を下げていく際には、前から見て前腕(肘から手首の部分)と上腕(肘から肩の部分)が90度に近くなるように肘を開いた状態で肘を曲げていきます。
こうすることで、ノーマルな腕立て伏せよりも胸の筋肉である『大胸筋』により強い負荷がかかるようになります。
大胸筋はバストアップに直結する筋肉ですので、バストアップを目的として腕立て伏せを行う方は、ノーマルな腕立て伏せから徐々にワイドプッシュアップに変化させていくとよいでしょう。

2. ナロープッシュアップ

ナロープッシュアップは、肩幅よりも狭いスタンスで両手を床にセットします。
手の幅はご自分で調整可能ですが、狭い場合には肩のラインで左右の手がほぼくっつくように置くこともできます。
こうすることで、『上腕三頭筋』(力こぶができる筋肉の裏側で肘を伸ばすことに作用します)により負荷をかけることができます。
男性で太い腕を目指す方、女性においても引き締まった二の腕を目指す方はこのやり方が効果的です。

3. バックプッシュアップ

バックプッシュアップは、ノーマルな腕立て伏せよりも後方に手をセットします。
肩幅よりも拳1つ分内側、おへそよりも少し上あたりに両手を置きます。
こうすることで、肩より先の腕全体が肩のラインよりも後方にくるようになり、腕や胸の筋肉よりも背中の筋肉である『広背筋』に負荷がかかりやすくなります。

腕立て伏せの効果

腕立て伏せは筋肉質な体を手に入れたい人や上半身を鍛える必要のあるスポーツを行っている人が行う『ただの筋トレ』と思っている方もおられるかもしれませんが、実は上半身の筋肉量を増やす以外にも全身によい効果がたくさんあるのです。

1. 筋肉量増加、体脂肪減少

腕立て伏せの最も明確な効果として外せないのは、『上半身の筋肉量の増加』です。
前にも述べたように、大胸筋、上腕二頭筋・三頭筋、広背筋、三角筋、僧帽筋など様々な筋肉が鍛えられ、筋肥大を起こします。
また、筋肉量が増えることで全身の代謝が促進され、脂肪を燃焼しやすい体を作ることができますので、ダイエットやメタボリックシンドローム対策にも効果的です。

2. 姿勢の改善、肩こりの予防

パソコン作業や編み物、車の運転など肩こりの原因はたくさんあります。
これらの共通点は、手を体の前に出して作業することです。
手を体の前に出していると肩甲骨が外側に開き、猫背になり、頭が体よりも前にでようとします。
すると重たい頭を支えようと頸から肩の周りの筋肉が緊張し、肩こりを起こしてしまいます。
腕立て伏せでは、肩甲骨の内側にある筋肉が鍛えられるので、肩甲骨を内側に寄せる力が身につき、猫背になりにくくなります。
また、首を支える筋肉(主に僧帽筋)も鍛えられるので、肩がこりにくくなります。

3. 五十肩、腱板損傷など肩のトラブル予防

五十肩や腱板損傷はいろいろなきっかけで発症しますが、年齢を重ねるうちに肩を動かすことが減り、筋力低下を起こしたり柔軟性が低下している中で重たい物を持ったり無理な体勢をとることで始まることが多いようです。
日頃から腕立て伏せをすることで、肩の周りの筋肉の血流量が増えて柔軟性が維持され、加齢に伴う筋力低下も遅らせることができるので、これらのトラブルを未然に防ぐことができます。

4.体幹の強化、腰痛改善

腕立て伏せというと上半身の筋肉だけに目が行きがちですが、正しい姿勢を維持することで腹筋や背筋といった体幹の筋力もかなり鍛えられています。
そして、体幹が強化されているということは、腰を支える力も増しており、腰痛の予防や改善にもつながります。

4. 心血管機能の改善

腕立て伏せでは、大きな筋群(大胸筋・広背筋・大腿四頭筋などの大きな筋肉)をたくさん働かせます。
大筋群は作用するために必要とする酸素の量も多いので、心臓は一生懸命筋肉に酸素を送ろうと働きます。
血流を促進し、体に酸素を送る力を促進するという点において心臓血管系も鍛えられ、機能を高めることができるのです。
普段運動不足で、なかなか運動の時間を取れない多忙な方でも、朝出かける前や寝る前の数分で腕立て伏せをすることで、心臓に適度な負荷をかけ、少し運動不足を解消することができます。

5.バストアップ

ここまで、腕立て伏せの効果について健康面ばかりあげてきましたが、忘れてはいけないのがバストアップ効果です。
女性の乳房のちょうど深層にあるのが大胸筋です。
大胸筋が筋肥大を起こすことでバストアップすることはもちろん、年齢とともに乳房が下垂してしまうことについても大胸筋の効果で防ぐことができます。
また体幹を鍛えることで良い姿勢を保つ効果も期待できます。
せっかく筋肉を鍛えても、姿勢が猫背になってしまうと胸が落ち込み体のラインが綺麗に見えません。
トレーニングだけでなく、普段の姿勢も気にすることが大切です。

おわりに

今回は、数多くある筋トレの中でも腕立て伏せを取り上げてみました。
女性にうれしいバストアップの他にも、健康のためにうれしい効果がたくさんあることが分かっていただけたでしょうか。
これから始めてみようと思われている方も、すでに腕立て伏せを習慣的に行っている方も、もう一度ご自分の目的を見直して、ご自分にあった方法や負荷の腕立て伏せを行っていただきたいと思います。

参考文献・参照
https://smartlog.jp/57633 正しい腕立て伏せのやり方。筋肉への効果を最大化する11種類のメニュー
https://kintorecamp.com/push-up-benefits/ 腕立て伏せ(プッシュアップ)の効果10選!大胸筋から全身の筋トレ

監修

・救急医、内科医 増田陽子

・救急医、内科医 増田陽子

専門分野 
微生物学、救急医療、老人医療

経歴
平成18年 Pittsburg State大学 生物学科微生物学・理学部生化化学 卒業
平成22 年 St. Methew School of Medicine 大学医学部 卒業
平成24年 Larkin Hospital勤務
平成26年 J.N.F Hospital 勤務

資格
日本医師資格
カリブ海医師資格
米国医師資格

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