はじめに

今では、パイナップルはいつでも食べられる果物になりましたが、意外にパイナップルの詳細を知る人はいないのではないでしょうか。
パイナップル=口が痛くなる?などの知識は持っていますが、成分的にメリットをたくさん抱えた果物なのです。ここでは「パイナップル酵素」に着目してお伝えしたいと思います。

パイナップル酵素ってどんなもの?

そもそも酵素って?

私たちが生きるためには、動く、考える、内臓を動かす、呼吸をするなどのためには、
エネルギー源が必要です。
そのエネルギーが、脂質・糖質・たんぱく質・ビタミン・ミネラルです。

食物からは直接肉や血にはなりません。
消化吸収を繰り返して細かな成分まで分解するのですが、この分解に必要なものが酵素です。

現在解明されている酵素は3000種類と言われています。
酵素はタンパク質です。一つの酵素は色々な作用をするかと言ったらそうではなく、単一作用しかできません。例えば、脂肪だけしか分解できない。タンパク質だけしか分解できないというように限定されています。

パイナップルの酵素「ブロメライン」

パイナップルに含まれているパイナップル酵素とは「ブロメライン(ブロメイン)」というものです。
消化を助けるための消化酵素として、タンパク質を分解するものです。

タンパク質分解力もかなり強いほうにあたります。その証拠に、パイナップルを食べた時に舌ざわりがジーンとすることがあると思いますが、ブロメラインの刺激によるものと言われます。

他には、ブロメラインの効果として肉などの食材を柔らくすることがわかっています。
しかし酵素は全般的に熱に弱い性質を保持しています。
そのためパイナップル酵素も調理などの加熱60℃以上により、酵素の働きが低下することが難点となっています。

であれば酢豚はどうなるとお考えの方もいるかと思いますが、肉の柔らかさをアップさせるのではなく、風味や甘みのコク付けとして用いられていると思われます。

パイナップル酵素はこんな大きな病気予防にも!

胃を助ける

タンパク質の分解酵素なので、肉のたんぱく質も速やかに消化しやすくします。
胃もたれ防止になりますし、消化が良くなると全身の代謝も良くなります。

便秘解消

タンパク質が消化されずに腸まで運ばれていったとすると、どうなるでしょう。
吸収しづらく有害ガスを生みだす悪玉菌のエサとなってしまいます。

悪玉菌が増えることで善玉菌が減る→便秘という構造になるわけです。
そこでパイナップルをたっぷり食べると酵素である「ブロメライン」がタンパク質を細かく分解して残骸が腸に残らないようにします。

また胃腸の負担を減らす効果もありますので、腸の蠕動運動(ぜんどううんどう)が活発になり、便をスムーズに運びだします。

関節痛 

ブロメラインはタンパク質に対する働きかけのほか、炎症に対しても大きな役割を果たします。
ルチンなどの成分と併用することで、関節炎の消炎や鎮痛につとめます。
変形膝関節症やリウマチにおいては、内服薬としても使用されています。

アレルギー体質を改善

ブロメラインはヒスタミンという物質を減少させる働きがあります。
湿疹やニキビ、アトピー性皮膚炎などの痒みや発赤などの原因をつくるのはヒスタミンという生理活性物質であるため、ここをブロックすることでアレルギー反応が沈下するというわけです。

心筋梗塞や脳卒中のリスクを減らす

私たちの身体には出血した場合に、その出血を止める働きをするフィブリノーゲンというものがあります。
これが増えると毛細血管から徐々に太い血管へ血栓などを作ってしまうマイナス因子になってしまいます。
そこでブロメラインが投入されると、血栓が原因となる心筋梗塞や脳卒中のリスクが減るというわけです。

パイナップル酵素にもちょっとした注意が必要

▪ パイナップル酵素の効果を利用しようとする際には果物そのままで摂取してください。
 熱に弱いため加熱して作る食品や缶詰では効果がありません。

▪ パイナップル酵素であるブロメラインは作用が強い酵素のため、食べ過ぎると
 口やのどの粘膜が刺激されすぎて、イガイガした感じやヒリヒリした感触
 または胃痛なども出現することがあります。食べ過ぎには注意が必要です。

▪ 胃酸にもブロメラインは成分として含まれています。
 空腹時にパイナップルをたくさん食べてしまうと、ブロメラインの働きで、
 胃の粘膜を刺激してしまいます。

 これと胃酸分泌では、ダブルの効果で胃痛を引き起こすことになるかもしれません。
 食後のデザートとして食べることが望ましいでしょう。

まとめ

パイナップル酵素であるブロメラインが、消化酵素として働くだけではないさまざまな効果があるとわかりました。

健康だけではなくパイナップルのビタミン類も一緒に考えると、美容効果も抜群に備えていると言えましょう。
果物に目が行ったときには、積極的にパイナップルを買いたくなるかもしれません。

監修

・救急医、内科医 増田 陽子

・救急医、内科医 増田 陽子

専門分野 
微生物学、救急医療、老人医療

経歴
平成18年 Pittsburg State大学 生物学科微生物学・理学部生化化学 卒業
平成22 年 St. Methew School of Medicine 大学医学部 卒業
平成24年 Larkin Hospital勤務
平成26年 J.N.F Hospital 勤務

資格
日本医師資格
カリブ海医師資格
米国医師資格

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