タトゥーのレーザー除去の方法

タトゥーのレーザー治療では、医療用のレーザーをタトゥーが入っている墨の部分に当て、熱と衝撃で色素を粉砕します。そして、細かくなった色素をマクロファージ(死んだ細胞や細菌などを食べる白血球)が分解することにより除去していきます。

皮膚の治療に使用されるレーザーには、「色素」に反応するものと、「水」に反応するものの2種類があります。前者はメラニン色素やタトゥーの墨などに反応し、タトゥー除去に使われます。後者は皮膚細胞に含まれる水分に反応し、イボやホクロ除去に使用されます。

色素に反応するレーザーの中にも、様々な種類があります。特定の色にだけ反応するもの、複数の色味に反応するものなど、効果はレーザーによって違います。浅い部分にある色素は皮膚のターンオーバー(新陳代謝)によって置き換わっていきます。

タトゥーのレーザー除去の効果

タトゥーのレーザーによる除去は一度にできるわけではなく、何度かレーザーを照射して徐々にタトゥーを消していくので、時間と根気が必要です。
レーザー治療は正確にいうと、タトゥーを「消す」のではなく、「薄くする」というスタンスです。黒一色など、墨が皮膚の浅い部分に薄く入っている場合は、ほぼ完全に消えたように見えることもありますが、このような症例はごく一部です。以下で説明する理由から、多くの場合ではタトゥーは薄くなるだけで消えません。

タトゥーの色素に反応してレーザー熱を発すると、患部の皮膚が火傷し、火傷跡がタトゥーの墨の上部を覆います。火傷跡はレーザーを弾きやすく、墨にレーザーが届きにくくなります。つまり、レーザー治療を重ねるごとに効果は薄くなってしまうわけです。そのため、墨が多いタトゥーはレーザー治療には向かないといえます。

タトゥーのレーザー除去の費用と期間

タトゥーの除去は保険適用外で全額自己負担です。費用はタトゥーの大きさ・色・深さに加え、クリニックによってもかなり違います。このため、ここでは大体の相場をお伝えします。

1cm×1cm以下のタトゥーの場合、1回のレーザー治療に1万円程度、5cm×5cmなら1回で4~8万円程度が相場です。しかし、タトゥーは一度のレーザー照射では消すことができません。満足のいく仕上がりになるまでに5回~10回程度のレーザー照射が必要ですので、最終的な金額は20万~80万円ほど見ておく必要があります。金額に開きがあるのは、タトゥーの大きさや深さによって、回数が異なるためです。

一度レーザーを照射すると肌へのダメージを考慮し、3ヵ月間ほど空ける必要があります。つまり、治療が全て終わるまでに2~3年はかかると見た方がよいでしょう。時間をかけてたくない方は別の方法を選択した方がいいかもしれません。

レーザー除去の金額が高いと思った方も多いと思います。この場合、モニターに応募すると、費用が安く済みます。モニターには症例写真モニター、体験談モニター、施術モニターなどがあり、クリニックの実績を宣伝させるために募集しているものです。ただし、ここで注意して欲しいのは、まだ開発されたばかりの機械や施術を試すための施術モニターです。施術する医師の経験が伴っていない場合や技術的に未熟な場合が多いので、事前に確認しておきましょう。

タトゥーのレーザー除去の痛みと副作用

タトゥーのレーザー除去は、痛みを生じることが多いといえます。タトゥーの墨は皮膚の奥まで浸透しており、そこまでレーザーを当てるために、レーザーの出力を高くしなければなりません。そうしないと狙った施術ができないからです。
クリニックでは輪ゴムではじかれたような痛みと表現することが多いです。この痛みをタトゥーの範囲すべてに感じます。最初は我慢できても、レーザー治療が進につれて、皮膚の奥深くにレーザーを当てるので、痛みは増していきます。
また、施術後、肌は軽い火傷の状態になり、ヒリヒリとした痛みが続きます。痛みが我慢できない方や不安な方は事前に痛み止めを処方して貰えるかを確認しておきましょう。

タトゥーのレーザー除去の注意点

レーザー治療でタトゥーを除去する場合の注意点をまとめました。

・治療してすぐは、飲酒、喫煙、辛い食べ物は控えましょう。飲酒と辛い食べ物は傷口からの出血を誘発する可能性があり、喫煙は血行が悪くなるため傷の治りが遅くなります。
・湯船に入るのはしばらく控えましょう。温泉、プールなども禁止です。有害な菌が潜んでいた場合、感染症を併発するリスクが高まります。
・太陽に当たらないように気をつけてください。レーザー治療後は皮膚が火傷状態ですので、日焼けは厳禁です。外出時はSPF30以上の日やけ止めを塗るようにしましょう。
・万が一日焼けしてしまった場合は、火傷のリスクが高まるため、1ヶ月はレーザー治療を控えましょう。
・赤み、膿などの感染症状がある場合は、悪化する前にクリニックに行くようにしましょう。
・色素沈着や色素脱失のリスクがあるので、患部をこすったり、刺激を与えたりしないようにしましょう。
・完全に元通りの肌色に戻るとは限らないことを把握しておきましょう。皮膚の色にレーザーが反応して白抜けや脱毛を引き起こしたり、部分的に色素が残ってまだらになったり、跡が残ったりすることがあります。
・元々タトゥーを入れた時の針の傷跡が色素で隠れているので、治療で色素が取れると、その傷跡が出てくるこがあります。

まとめ

タトゥーの除去は根気とお金が必要になります。ファッション感覚で入れてしまって後悔している方も多いですが、除去するにもリスクがありますので、メリットとデメリットをしっかりと把握してから行いましょう。安全にタトゥーを消して、新たな人生を歩めることを願っています。

監修

・救急医、内科医 増田陽子

・救急医、内科医 増田陽子

専門分野 
微生物学、救急医療、老人医療

経歴
平成18年 Pittsburg State大学 生物学科微生物学・理学部生化化学 卒業
平成22 年 St. Methew School of Medicine 大学医学部 卒業
平成24年 Larkin Hospital勤務
平成26年 J.N.F Hospital 勤務

資格
日本医師資格
カリブ海医師資格
米国医師資格

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