財部先生の職場はどんなところなんですか?

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ケアクル: アデレードではどういう働き方をされているんですか?

財部: 以前はマッサージクリニックやカイロプラクターの先生方と一緒に働いていてその場所の1部屋を借りる個人事業主だったんですが、たまたま患者さんが薬剤師さんで彼が新規の総合病院で働く事になったという事で、病院が鍼師を探しているので週に1か2で入れないかという話をしてもらい、週2で働くことにしたんです。病院ですと個人クリニックではなかなか診察できない症状の患者さんを医師から紹介されたり治療部屋をいくつも使えたりと、とても自分1人ではできない事が可能になりました。
 個人経営とは働き方も変わり2週間に1度歩合制の給料が銀行振込されます。
 クリニックの場所代を支払わなくて良いので、休暇や講習会に参加する日数も金額が発生せずストレスにならないのも良い点です。治療に必要な用具は全て病院が揃えてくれるので、鍼の購入、タオルのレンタル、ペーパータオルなどの事務作業をしなくて良い点も気に入っています。受付スタッフが常に常勤していますので、支払いも受付で済ませてもらう事ができて保険支払い額も清算され患者さんにとって好都合のようです。

この言葉が好きなんですがまさにその通りですね。
If you want to go fast, go alone,
If you want to go far,
GO TOGETHER
              -African Proverb
早く行きたい時は自分1人で
遠くに行きたい時は
みんなで行こう
ケアクル: 総合病院というのは、具体的にはどんな病院なんですか?

財部: 病院名はIntegrative Health Solutionsと言います。総合病院といっても代替医療の知識が豊富なGPが常勤しているので必要以上の薬の処方はせずに患者にとって何がベストかを考えた上で、西洋医学の薬を処方するか、それとも鍼、漢方、カイロプラクター、マッサージ、カウンセリング、アートセラピー、自然療法士、栄養士等に紹介しています。

*GP(General Practitioner/総合診療医):オーストラリアで医療を受けるには、まずGPの受診が必要で、GPが入院や手術,専門性の高い治療が必要と判断すると,病院(一部開業の専門医もいます)に紹介され,専門的な医療を受けることができる。

ケアクル: え?そういった病院はオーストラリアにたくさんあるんですか??

財部: そんなには多くないとは思いますが、患者さんが求めているので少しずつ増えてきてるようです。私が働いてるところはアデレードで一番大きいようです。GPと他のスタッフ達は大変仲良く1つのチームとして一緒に働いています。
 月に1度パブリックトーク(公開講座)を無料で行なっていて、毎回テーマを決めてそれぞれのセラピストのアプローチを患者さんへ紹介し、デモンストレーションをしたりもします。鍼のデモはいつも好評なんですよ。
 鍼でどんな症状を治療できるのか紹介していくことは大事なことなんだと思います。

ケアクル: 素晴らしい取り組みですね。残念ながらまだ私の知る限り、日本にはないですね。

財部: これから鍼灸師がもっと医療の現場に入って行けると良いですよね。そう言ったクリニックを立ち上げたいGPの方もいると思うんですけどね〜。まだ繋がってないのが現状なんでしょうか?
 クリニックを開設してGPを雇えないんでしょうかね〜。鍼師が入って行くのではなく、GPに入ってもらう新しい考え方。

ケアクル: 財部先生も、鍼灸から必要であればマッサージに送ったりとかするんですか?

財部: そうです。以前はマッサージをしてましたし、自分もマッサージを受けるのが好きなので、必要な患者さんにはマッサージを進めたり、カイロプラクターを紹介したりしています。逆にGPに紹介することもあります。

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ケアクル: 何人ぐらいスタッフはいるんですか?

財部: GPを含めて27名です。看護婦や受付スタッフ等を含めると43名です。

ケアクル: 入院施設もあるんですか?

財部: 入院施設はないです。以前は入院施設完備の病院だったようです。
 私の部屋は分娩室だったようで、患者さんがここで自分の子を産んだと話してくれる方もいます。窓越しが庭になっていてとても雰囲気の良い部屋です。

ケアクル: ベッドは鍼灸用に何床ぐらいあるんですか?

財部: いつも使っているメインの部屋と小さい部屋が3つ、点滴ルームが1つあります。
 点滴の部屋はとても広く、グループで治療するときに使います。曜日によっては他の鍼灸師さん達が部屋を使っている場合は、自分の部屋以外に他の空いている部屋を使う事が可能です。

ケアクル: 財部先生以外にも二人鍼灸師がいらっしゃるんですね?みなさん、同じバランスメソッドを使われているんですか?

財部: 1人の女性の鍼灸師さんは私が誘ってバランスメソッドの講習会に参加してもらいました。
 もう1人の鍼灸師さんは違った方法で治療なさっています。鍼灸法や治療法が違ってもお互い仲良く働いています。

ケアクル: 患者さんは担当制みたいな感じですか?

財部: それぞれに患者さんがついているんですが、私が講習や休みで抜けている時は、他の2人の先生方に紹介しています。電子カルテで共用できる点も良いと思います。病院内には薬剤師さんが経営する薬局屋さんが入っていますので、エプソンソルト(硫酸マグネシウム)や、マヌカハニー、イヤーキャンドル、栄養剤、薬、サプリメント、プロテインボール、ココナッツオイルなど多くの商品があるので、患者さんがそれらを必要としてる時はとても便利です。置いてほしい商品を仕入れて貰うことも可能なんです。

ケアクル: 日本にもそう言った総合クリニックできるといいですね。

財部: はい。その通りだと思います。患者のためにどの治療が最善なのかを考えるのがベストだと思います。薬治療なのか?それとも他の治療なのか?薬へのアレルギー反応がある患者さんも多いですものね。

ケアクル: 一番多い患者さんの訴えは痛みですか?

財部: はい。やはり痛みは一番多いですね。患者さんも鍼治療は痛みに効果があると知ってるようです。痛みを治療する過程で、実はホルモン異常で悩んでるんですがそれも鍼で治療できますか?とか旦那が。。。娘が。。。という風に相談を受ける事があります。
 病院ではホルモン異常、甲状腺異常、女性疾患、生理不順、生理痛、神経障害、脳梗塞の後遺症、消化器官、胸焼け、逆流性食道炎、がん患者のサポート治療などほとんどの疾患を治療しています。
 専門医に行くとかなり高額な治療費を支払う場合が多いですが、その点鍼治療は払いやすい料金になってると思います。

ケアクル: でも、残念ながら日本は逆なんですよね。

財部: そうですか〜。なかなか厳しそうですが苦しんでる患者さんは、沢山いますので鍼でしっかり治せれば患者さんも来院してくれるんじゃないでしょうか?

ケアクル: 参考までに勤務先の病院での治療費はいくらぐらいですか?
財部: 初診が90ドルで、それ以降は45分:75ドル、30分:60ドルです。また、グループセッションは30ドル。ヘルスカード所持(高齢者、低所得者)の方は5ドル引きになります。

ケアクル: 鍼治療は保険でカバーされているんですか?

財部: はい。使えます。保険会社によって支払額が異なります。
 労災組合に登録している、マッサージ師や鍼灸師は保険で治療費が支払われます。

最後に、これから海外を目指す鍼灸師たちに一言

ケアクル: 最後に、日本人の海外に行きたいと思っている鍼灸師に対してメッセージをいただけますか?

財部: やりたい事はやってみた方がいいと思います。
 もし海外へ行ってみたいならまずは出てみる!いろんな体験をする事はとても大事な事だと思います。他の人になに言われようが、自分を信じて進んで欲しいです。
 海外へ出たいなら出るべきだしもしダメならいつだって帰ってきてまた新しい事に取り込むのも良いと思います。そうしないといつまでも思い描いてるだけで ”あれやればよかった” ”こうすればよかった” なんて後悔はして欲しくないですね。
 カラオケが上手な人やおしゃべりが好きな人は外国語を話すのが自然と上手になるようです。母国語であまり会話下手な人は外国語でも同じになります。人と会話するのが大好きでどんな英語でも伝えたい喋りたいという気持ちがあれば話せるようになると思います。
 ビザの問題や経済的な問題の壁にぶつかると思いますが、人との出会いでいろんな選択肢が出てきますのでまずは第一歩を踏む事が大事だと自分は思います。


財部先生、いろいろと興味深いお話をありがとうございました。

プロフィール

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財部 順司

<経歴>
2019年  譚式バランスメソッド を日本に紹介
     (アイリーン ユーリング ハン氏の通訳を務める)
2018年  Global Balance Foundation 主催
      カンボジアメディカルミッションに参加
      Si Yuan balance method core メンバー
      Integrative health Solutionsの中医師として勤務
2017年  Si Yuan balance method 主催
      カンボジアメディカルミッションに参加
2014年  Dr Tan balance method work shopに参加
2013年  中医学学士号習得
2008年  オーストラリア市民権取得
2007年  個人開業院をオープン
2006年  指圧ディプロマ資格取得
2005年  レメディオマッサージディプロマ資格取得
2002年  鍼灸学校入学
2001年  オーストラリア移住

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