はじめに

妊娠後期に差し掛かるとお腹が途端に大きくなり胎動も感じやすくなります。

もうすぐ会える我が子との対面が待ち遠しいと思う方も多いのではないでしょうか?
その一方で妊娠後期はお腹の張りが起こりやすく、特に初産のママさんは大丈夫かな?と心配になることもあるかと思います。

今回は妊娠後期に起こりやすいお腹の張りや腹痛について詳しくお伝えします。

妊娠後期のお腹の張りの症状

人にもよりますが、多くの方が妊娠28週を過ぎた辺りからお腹の張りを感じるようになります。
お腹が張る回数が増え、張りや痛みが強くなります。

お腹の張りの感じ方は人それぞれで見た目や触ると分かります。
例を挙げると子宮がキュッとする、お腹がピキンと張り、張り裂けそうだと感じる、石のようにガチガチに硬くなる等です。

お腹の張りと一緒に息苦しさを感じる方もいるようです。
息苦しさを感じる理由として胎児が大きくなると子宮も大きくなり、横隔膜が上に押されるので内臓器官とともに肺等の呼吸器官が圧迫されてしまうからです。
お腹が張ったと感じたら先ずは横になって安静にしましょう。

また、体型や体質によってはお腹の張りが感じにくい方もいらっしゃいます。
その場合は仰向けで横になり、膝を立てて下腹部を触ってみて下さい。
目安はほっぺたより硬いかどうかです。硬い場合はお腹が張っているサインなので、安静にして様子をみましょう。

お腹が張ると赤ちゃんも苦しいのかと心配になるかもしれませんが、胎児は羊水で守られているので大丈夫です。

妊娠後期のお腹の張りの原因

お腹の張る原因は主に3つの可能性が考えられます。

1.子宮収縮によるもの

妊娠後期に感じるお腹の張りで一番多いのが子宮収縮によるものです。
子宮は筋肉でできていて、母体の緊張やストレス、冷え等で収縮します。
張りを感じたら安静にしてリラックスするように心がけると筋肉の緊張が解れるので張りが治まります。

その他に授乳の準備として乳頭マッサージを行うと思いますが、これにより子宮収縮するホルモンが分泌されるのでお腹が張る事もあります。乳頭マッサージをしていてお腹が張ってしまったら、一度乳頭マッサージを中断して様子をみましょう。

2.前駆陣痛

妊娠36週を過ぎると正期産と呼ばれる時期に入り、母子ともに出産の準備に入り、前駆陣痛によってお腹が張る事があります。

前駆陣痛は不規則な収縮で一緒に腹痛や腰痛が起こる事もあります。
陣痛との違いは間隔がバラバラで張りや痛みが強くなる事はありません。

また、夜中に起こる事も多くあって、胎児の身体の向きによって起こる事もあります。
この場合は身体の向きを変えると治まる事が多いので、寝返りを打って楽な姿勢を探すと楽になります。

3.便秘が原因の事も

妊娠中はホルモンの変化で腸の動きが鈍くなりやすく、便秘になりがちです。
便秘によるお腹の張りは内側から膨れるイメージです。

また、この時期は妊娠後期特有のつわりが起こる事があり、水分をとっても吐いてしまう方もいて脱水症状に陥る事があります。それによって便秘が酷くなってしまう場合もあります。

便秘の場合は横になっても治まりませんので水分をしっかりと飲んだり、軽いストレッチ等をして腸を動かし、便が固くならないようにしましょう。

妊娠後期のお腹の張る頻度

妊娠後期はお腹が張りやすいですが、どのくらいの頻度になったら病院に行った方が良いのでしょうか?

病院を受診した方が良い目安は以下の通りです。

・妊娠30週未満‥1時間に3回以上
・妊娠30週以上‥1時間に5回以上

これくらいの頻度でお腹が張ってしまったら次の事をチェックしましょう。

・お腹が張る時間の間隔
・安静にして落ち着くかどうか
・痛みはあるか
・どの程度の張り具合か、どういう痛みか

ただ、出産直前の妊娠40週を超えると1時間に10回以上張る事も多くあります。

妊娠後期のお腹の張りの対処法

この時期は何気ない動作や行動でお腹が張ってしまう事もあります。

例えば、普段はあまり気にならない車や電車の振動や家事や育児で動いている時、散歩やおつかい等で歩いている時、疲れやストレスが溜まった時、身体が冷えた時、胎児の胎動によっても張ってしまう事があります。

そんな時の対処法を挙げていきます。

・自宅で張ってしまったら一度、今、行っている事を中断して横になって安静にしましょう。
・外出先の場合、横になれない事も多いので、そんな時は椅子に座って張りが治まるのを待ちましょう。
・乗り物に乗っていてお腹が張ってしまったら車は一度停車させて安静にして下さい。電車やバス等の公共機関の場合、できれば次の駅で一度下車して休みましょう。それがてきない場合、席を譲ってもらい事をお勧めします。

注意が必要なお腹の張り

妊娠後期は常位胎盤早期剥離や早産・切迫早産の恐れがあります。

以下に挙げる項目を目安にして下さい。

・1時間に何度もお腹が張る
・30分以上休んでもお腹の張りが治まらない
・張りが続いていてお腹が硬い
・出血がある
・おりものにしては量が多く、尿漏れと勘違いする位下着が濡れてしまった
・痛みで立ってられない、痛みでうずくまってしまった

特に常位胎盤早期剥離、早産・切迫早産は母子ともに大変危険な状態です。
こういう症状が現れたら病院に連絡し、すぐに受診しましょう。

また妊娠37週以降だと破水や陣痛が始まっているかもしれません。
お腹が張る時間の感覚を測り、10分間隔になったら病院に行きましょう。

まとめ

妊娠後期のお腹の張りの症状は個人差が大きいです。

原因として考えられるのは子宮収縮、前駆陣痛、便秘です。

お腹が張ってしまう頻度として妊娠30週未満が1時間に3回以上、妊娠30週以上が1時間に5回以上を目安に、張りが頻繁な時はお腹が張る時間の間隔、安静にして落ち着くかどうか、
痛みはあるか、どの程度の張り具合か、どういう痛みかをチェックしましょう。

妊娠後期はちょっとした動作でもお腹が張ってしまいますので、張ってしまった時は安静にして下さい。この時期は出産に向かって身体も変化します。無理をせずに出産に備えて下さい。

監修

・救急医、内科医 増田陽子

・救急医、内科医 増田陽子

専門分野 
微生物学、救急医療、老人医療

経歴
平成18年 Pittsburg State大学 生物学科微生物学・理学部生化化学 卒業
平成22 年 St. Methew School of Medicine 大学医学部 卒業
平成24年 Larkin Hospital勤務
平成26年 J.N.F Hospital 勤務

資格
日本医師資格
カリブ海医師資格
米国医師資格

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