はじめに

昨日はお酒がやたら効いちゃって疲れてんのかなぁとお酒を飲まれる方なら一度は経験したことがあるかもしれません。

疲れてる時に飲むお酒は自分が思ってる以上に酔いが早いかと思います。
そのような時にカラダの中で何がおこっているのでしょうか?

ただ、『疲れてる』で納得するよりも、カラダの状態を知っておいた方が対処が出来るといったものです。

今回はこんな疲れている時に酔いやすい理由を東洋医学でご説明します。

カラダにとってのお酒とは

体力が落ちれば、お酒が回りやすくなるのはなぜなのでしょうか?

まず最初に、お酒の性質について東洋医学で考えてみましょう。

アルコールの性質を東洋医学で表すと、それは『湿』と『熱』です。

『湿』はべとべと湿気のイメージで、二日酔いになるとカラダが重たくなるのはこのせいです。
『熱』はコントロールが上手にできない過活性のイメージで、飲んだら声が大きくなる、顔が赤くなるなどはこのせいです。

そんなお酒がカラダの中に入ってくると何が起こるのでしょうか?
今回はそれをイメージしていきましょう。

まずは『熱』です。
熱のイメージ、どうお持ちでしょうか。
カラダの中に熱が入ってくると起こることは、『水』の枯渇です。

カラダは中に熱が入ってくると、その熱を冷まそうとして、カラダの中の水を消費しだします。
自然界でも空冷より水冷の方が熱を奪っていってくれます。カラダの中でもまさにそのような状況が起こっています。

次は『湿』です。
この湿は言ってみればべとべとの粘度を帯びた、本来カラダの中にあって欲しくない水です。

これは熱の性質によって水の量が減ってしまったのと、お酒がもっている湿の性質のダブルパンチで
飲み過ぎた時はカラダが重だるくなってしまうわけです。

やっぱり、カラダには水が循環してなきゃいけないのです。
この『水』のイメージが、今回のお話のポイントとなります。

人間のカラダの60%は水分と言われております。
この水分はもちろん東洋医学においてもとっても重要な概念です。

本記事では、この『水』の話からスタートして、疲れとお酒を紐解いていきます。

東洋医学のキーワード『水』ってなに?

因みにこの『水』、東洋医学だと『ミズ』って読みません。
東洋医学では『スイ』と読みます。

東洋医学では『血』も『ケツ』って読みません。
これには理由があり、必ずしも現代西洋医学でいう『血(チ)』や『水(ミズ)』と100%同じ意味で使ってるいるわけではありません。

もっとも、昔のヒトもカラダから出てくる血液も水(涙、唾液、汗、お小水など)も見えていたので、ほとんど意味は一緒とされています。

この『水』、実はもう一つの読み方があり、それを『津液(シンエキ)』といいます。
『津(シン)』はカラダの中のサラサラ液体をさし、『液(エキ)』はカラダの中のネバネバな液体をさします。

こんな特徴や別名を持った『水』なのですが、その作用はカラダの温度調節を行ったり(熱を水で冷ますイメージ)、カラダを滋潤してくれたり(お肌にうるおいをもたらす等)関節の動きを円滑にしてくれます。

この『水』に十分な量がある、ないしは仕事がしっかりできる状態にあるからこそ、お酒を飲んで、カラダに入ってきた『熱』も上手にさばけるといったわけなのです。

次は疲れとの関係について説明します。

『水』とおつかれの関係性、ポイントとなる『腎』とは

『水』の話だけでは、疲れと結びつかないかと思います。

疲れにつながるポイントが『腎(ジン)』です。

これも現代西洋医学の『腎臓』とはちょっと違っていて、東洋医学でこの言葉を使う時は『腎臓』というモノ(物体)をさすのではなく、『腎』という働きを指します。

東洋医学では『腎』という言葉はモノではなくコト、概念上のコトで『腎臓』という臓器を指してるわけではありません。

モノでなく働きと説明した『腎』の大事な働きをご紹介します。

この『腎』の働きは、スタミナ管理と水分管理になります。

働き過ぎちゃって上手に身体が動かない、忙し過ぎて物忘れが、このような症状はこの『腎』が上手に働いていないからとされています。日本の言い回しで『肝腎かなめ』なんて言葉がありますが、まさにその通りなのです。

そんな大事な『腎』のもう一つの仕事が、カラダの中の『お水』の管理です。
『おつかれ』と『お水』は管理しているところが同じなのです。

飲酒時『腎』はこんなに忙しい!

お酒を飲み過ぎると、カラダの中の『お水』を消耗しすぎる状態になります。

これは言い換えをすると、『腎』に重労働を課しているということです。
お酒、特に冷えたお酒なんかを飲んでると、御手洗が近くなるかもしれません。このお水の処理も『腎』の仕事になるのです。

お酒を飲んでいる時にカラダの中で『腎』は、カラダを冷ますだけでなく、お水の管理までおこなっているのです。

では、もし『腎』のもう一つの作用、スタミナ管理のサイドでそもそも、スタミナが消費されてしまっている状態にあった場合はどうなるのでしょうか?

スタミナが消費された場合(疲れている状態)は、『腎』が上手に働かなくなりカラダの中で『腎』という作用が働けなくなってる状態になります。

この状態でお酒を飲むと、お酒による『熱』が上手にさばけません。

つまり、早く酔っぱらってしまったり、酔っぱらいやすいといった状態を引き起こしてしまいます。
しかも、放尿でカラダに入ってきた多くの水をさばくこともできなくなるため、量を沢山飲むことも叶わなくなります。

もちろん、その他の働きをしている部位との兼ね合い等々もありますが、一番はこの『腎』の仕事によるものなのです。

このような理由で、疲れている時の一杯は思っている以上に酔いやすいというわけです。

『腎』をいたわっておつかれ知らず!

では、どのように対策をすれば良いのでしょうか?

大事なことは、『滋陰(ジイン)』と『補腎(ホジン)』です。

ポイント①:睡眠
東洋医学には『陰主陽従(インシュヨウジュウ)』という概念があり、いい仕事は良質な睡眠からといったことです。スタミナ管理の仕事をしている『腎』にとっては直接的に関係する話しです。

ポイント②:呼吸
日々の生活を送るなかで、どうしても呼吸が早く浅くなってきてしまう方もいるかもしれません。
東洋医学でいう『納気(ノウキ)』が出来ていない状態になり、良質な空気をカラダに納められていないということになります。

良い空気をしっかりカラダに入れないと無駄にスタミナを消費してしまい、『腎』が上手に働けないとなりますので、良質な空気をいれることが大事です。

ポイント③:ゆっくりストレッチ
ゆっくりストレッチが大事です。汗をかくような運動はNGです。

カラダから水が出て行ってると思うかもしれませんが、汗をかくことは上がった体温を冷ますために行う機能なので身体的には結構負担を強いています。身体が疲れている時は汗をかくような運動はNGになります。ゆっくりストレッチをして、じっくり身体をほぐしましょう。

身体が疲れている際には、この3つのポイントを試してみてはどうでしょうか?
これが解消されればまた、美味しいお酒が飲めるかもしれません。

まとめ

東洋医学では、みなさんの身近で起こっていることを説明できるようになっています。

お酒の『熱』は腎の『水』が冷ましてくれて、腎のお仕事は『水』の管理の他に『スタミナ』も管理している。その『腎』を上手に働かしてあげるためには良質な睡眠をとること。つまり、疲れを解消してあげること。と言った理由になるのです。

今日はゆっくりストレッチをした後、深呼吸して沢山寝てみてはどうでしょうか?
明日には美味しいお酒が飲めるかもしれません。

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