はじめに

健康診断は自分の身体のバロメーターを知る手段の一つですが、特に血液検査は結果を見ても、よくわからないという方が多いのではないでしょうか。

たくさんの項目の「正常」か「異常」かということは理解できても、どこの場所がどんなふうに変化しているかというところまでは難しすぎますね。

そこで、血液検査が物語っている内容を理解できるように秘訣をお伝えいたします。

血液検査が必要な理由と物語る病気

血液は体を巡回するベルトコンベア

健康診断で一番重要視されるのは血液検査です。
血液数ミリリットルで、身体の中の異常を発見できるなんて不思議と思うかもしれません。

血液は、まるでベルトコンベアのように私たちの身体中を駆け巡っています。
食べ物を栄養分として血液が作られ、そしてその血液によって細胞に栄養分配され生かされています。

また栄養分を運ぶだけの役割ではなく、身体に異変が起こると血液のベルトコンベア中に何らかの形でお知らせが来ます。
それが炎症だったり、菌の侵入だったり、逆にあるべき成分が減ってしまうこともあります。

血液検査が必要なわけ

例えば胃が痛いと感じた時に、胃を調べるとします。ロボットのように、分解してわざわざ胃を取り出しすわけにはいきません。

そこで、血液の中には臓器に関わる情報がいっぱい入っています。
臓器を取り出さずとも、ある程度の情報を得ることができます。

自覚症状が無くても、健康診断において血液検査するだけで異常を発見することができます。
数滴の血液が大きな病気の発見となる画期的な方法なのです。

血液検査でわかること

・貧血

・白血病

・心筋梗塞

・肝臓病

・糖尿病

・高脂血症

・腎臓病

・各臓器の炎症

血液検査の数値はこうして見る

血球系検査

●赤血球(RBC):酸素を運ぶ役割
  高)多血症
  低)貧血

●白血球(WBC):外敵と闘う働き
  高)細菌感染、何らかの炎症、腫瘍
  低)ウィルス感染症、薬物アレルギー、

●血小板(PLT):出血した時に止血の役割
  高)鉄欠乏性貧血、血小板血症
  低)再生不良性貧血

肝臓系検査

●総蛋白:栄養状態を表す
  低)肝臓や腎臓の機能が低下

●アルブミン
  低)肝臓や腎臓疾患

●GOT:肝臓に含まれる酵素
  高)肝臓や心臓の疾患

●GPT:肝臓の働きを表す
  高)肝炎や肝臓がん

●γ-GTP:主にアルコールが原因による肝臓の障害を表す
  高)肝炎

脂質系検査

●総コレステロール
  高)動脈硬化の原因

●HDLコレステロール(善玉コレステロール)
  高)動脈硬化を予防
  低)心筋梗塞や脳血栓症などの原因

●LDLコレステロール(悪玉コレステロール)
  高)動脈硬化の原因

●中性脂肪(トリグリセリド)
  高)動脈硬化の原因

腎臓系検査

●クレアチニン
  高)腎臓の機能が低下

●尿酸:プリン体という成分が代謝されているかどうか
  高)高尿酸血症、痛風

糖代謝系検査

●空腹時血糖値:血液中にある糖の量
  高)糖尿病

●ヘモグロビンA1c:過去1カ月間の血糖値
  高)糖尿病

この基準値の決定方法と基準値からみる安心度

基準値は時代によって変化する

健康診断の結果は自分で見解できるように「基準値」が記載されています。
この基準値はどのようにした設定されたものかご存知でしょうか?

一つは、検査項目によっても違いは出ますが、病気の既往など持たない健康体の人々の検査結果をデータ化して平均値を算出します。それと根拠を合わせて「基準値」が決定されたものになります。

もう一つは、疾病の研究や発症率などをもとに決定されたものになります。

健康診断の血液検査は基準値を満たしていると合格?

自身の健康を管理するうえで毎年健康診断を受けて、その結果も基準値内に収まっていると安心かと思います。
しかし、それはちょっとした落とし穴になる場合もあります。

大切なのは、基準値に入っている事だけではなくて、毎年の数値変化を知ることです。
基準値の範囲はある程度の幅が設けられています。
この中でも増減していれば「気を付けよう」の信号となるものなのです。

「要再検査」と「要精密検査」、言葉の違いは意味も違う!

「要再検査」とは、検査するときの体調やスクリーニングするときに何か起こったために異常が出たことにより、その時だけの結果かもしれないため、念のためにもう一回同じ検査をしてみましょうということです。

反対に「要精密検査」とは、見逃せない数値であり、はっきりとした病気の解明や治療が必要であるため、もっと掘り下げて検査しなければならないという意味です。

要再検査:一時的な変動かどうかの確認のためにもう一度同じ検査が必要です。
要精密検査:治療が必要かどうかを確認するために、より詳しい検査が必要です。

まとめ

血液検査の味方や意味がわかると、今までよりもっと数値を見るのが楽しみなるかもしれません。
意味が分かると必然と自分の身体をより理解できるものです。

どこかに支障を感じてからでは、遅い場合が多々あります。
健康診断は、自分の命を守る手段です。

積極的に健康診断を受けることと、結果に対してきちんとした判断と必要な治療をすることが最も重要です。
病気の痛さや辛さを回避するためにも、健康診断を受けて、診断結果を理解しましょう。

監修

・千葉大学医学部附属病院 宮山 友明

・千葉大学医学部附属病院 宮山 友明

専門分野 
循環器内科

経歴
1998年 千葉大学医学部医学科卒業。
2008年 千葉大学大学院医学薬学府環境健康科学を専攻し、医学博士号を取得。
現在 千葉大学医学部附属病院循環器内科医員として、心臓専門医として診療、研究。

資格
医師免許

活動:
日本抗加齢医学会専門医としてアンチエイジング医学、日本医師会認定健康スポーツ医としてスポーツ医学にも取り組み、各種メディアで活動中。

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著者

ケアくるLINE@