はじめに

柿を見ると季節感を感じますよね。柿は文化は弥生時代からと言われています。
季節感だけではなく、やはり日本の伝統を象徴しているかのように存在感を感じさせます。
たかが柿、ただおいしい柿、そう思って食べる方が多いのではないでしょうか。
この柿、実は「体にいい」部分が大きいのです。美味しさと効能を知るともっと評価が高くなるかもしれせん。柿の特徴をご紹介いたします。

種類、選択、保存!知って得する柿の基本

柿の種類

柿は「可溶性タンニン」を軸に大きく3種類に分類されます。
可溶性タンニンとは、柿の渋さとなる成分です。

【完全甘柿】
熟する過程でことによって可溶性タンニンが不溶性タンニン(水に溶けない)に変わることで甘みを増します。

・富有柿(ふゆうがき)
・次郎柿(じろうがき)
・太秋柿(たいしゅうがき)
・御所柿(ごしょがき)
・松本早生富有柿(まつもとわせがき)

【不完全甘柿】
熟する過程でも一部しか不溶性タンニンに変化しないので渋みが残ります。

・蓮台寺柿(れんだいじがき)
・禅寺丸柿(ぜんじまるがき)
・筆柿(ふでがき)
・西村早生(にしむらわせがき)

【渋柿】
熟しても可溶性タンニンが多く含まれてそのままでは食べられません。

・平核無柿(ひらたねなしがき)
・刀根早生柿(とねわせ)
・紀ノ川柿(きのかわがき)

柿の選び方

1持ってみたら
  やわらかすぎない硬さで、身がしまっている重たいものが良いでしょう。
  またツヤは柿の種類によっても異なるので基準はありません。

2柿の形を見てみよう
  色がまだらだったり薄すぎたりせずに、濃い目のオレンジ色のものがいいでしょう。
  またヘタがしっかり4枚葉になって身とヘタの間が狭いもの、身にピッタリと
  付いているのがベストです。

柿の保存方法

柿の熟追はスピーディです。熟していない柿をかってきても放置しておくと2~3日で食べごろ、もしくは熟しすぎてしまいます。

【常温または冷蔵庫保存】
柿は木からもぎ取ってもヘタの部分でエチレンガスを出し、水分も蒸発しています。
ここの部分を塞ぐことで、柿のシャキシャキした食感を保てます。
柿のヘタにクッキングペーパーやティッシュペーパーの濡らしたものを当てます。
その上からラップを巻いて固定します。
さらに、エチレンガスを周りに拡散しないためにビニール袋に入れて保管します。
このペーパーが乾かないように管理しましょう。

【冷凍保存】
柿が完熟した状態で食べきれないときには、冷凍保存がおすすめです。
出来れば皮をとって冷凍すると、解凍して使う時に便利です。
凍ったままシャーベットとしても良いですし、ペースト状でデザートに使うなどでもいいですね。

柿ってこんなに栄養満点?

●ビタミンC
レモンはビタミンCの含有量が多いのは有名ですが、実は柿はレモンの次にビタミンCが多い果物なのです。
コラーゲンの生成を助成したり、体の錆をつくる酸化に対して抗酸化作用を発揮します。
また免疫力である白血球の活躍や、副腎皮質ホルモンの生成にも関与します。

●カリウム
利尿作用があり、塩分を体内から排泄しバランスを調節します。

●β-カロテン
抗酸化力を持ちます。体内ではビタミンAにも自動的に変わり、免疫機能に関与したり粘膜の保護にも力を発揮します。

●ペクチン
食物繊維の一つです。腸内に必要な善玉菌のエサとなって腸内の環境をよくする働きがあります。

●タンニン
血中の悪玉コレステロールを減少させたり、抗ウイルス効果もあると言われます。

こんなにあるの?柿の効能10!

▪ 「体の錆」を抑制し老化防止

▪ ウイルスに強く抵抗するためインフルエンザ予防

▪ 塩分を尿として排泄するためむくみ防止

▪ ビタミンCとβ-カロテンのダブルの効能でがん予防

▪ 皮膚のターンオーバを促進させて美肌作り

▪ ビタミンCとタンニンがアルコールの排泄を促進して二日酔い防止

▪ 血液サラサラ効果で血圧の安定から高血圧予防まで

▪ タンニンの働きで口臭予防と改善

▪ ペクチンのコレステロール吸収でダイエット効果

▪ 免疫機能アップで感染予防

柿の食べ過ぎは毒となる

食べ過ぎは便秘になる?

腸の蠕動運動は腸壁に便が触れたり刺激が起こることで生じます。
タンニンに含まれる成分のひとつにギブオールというものがあります。

これが腸壁に膜を張ってしまう作用があるため、刺激が少なく蠕動運動を抑制してしまい便秘となります。
特に腸の動きが悪いことが原因の弛緩性便秘の人は要注意が必要です。

体を冷やしてしまう?

熱を作る成分の一つであるナトリウムを、カリウムが尿として排泄し過ぎてしまうと全身の冷えが生じます。

より身体を冷やしてしまう食べ合わせと言われているのは、「カニと柿」です。
もともと冷え性の人は注意が必要です。

妊婦さんには危険?

柿によって体が冷えてしまうとお腹のハリが増強します。
場合によっては早産などの危険が起こるかもしれません。

またタンニンの働きで身体への鉄吸収を阻害してしまいます。妊娠中はより多くの鉄分を必要としますので、多く摂取することは控えるようにしましょう。

柿が石をつくる?

柿のタンニンが胃酸と食物繊維の影響で「柿胃石」というものを作ってしまう場合があります。胃の中でこの状態が生じると、腹痛や嘔吐、進行した場合には腸閉塞にも発展してしまいますので食べ過ぎはやめましょう。

アレルギー勃発?

柿のたんぱく質が花粉症の原因となるたんぱく質の構造と似ています。
花粉症を持っている人の中には、柿も花粉症が抗原であると免疫機能が判断ミスを起こし、柿にもアレルギー反応を示してしまうことがあります。
花粉症を持っている人は、慎重になることが必要です。

まとめ

「柿が赤くなると医者が青くなる」
この言葉の意味がお分かりいただけたでしょうか?

歴史の古い食べ物の一つとして、昔は甘いものが無かった時代ですから柿はおやつとも高級品ともなったのでしょう。今のように研究技術もない頃にも、柿の栄養分や体にとって薬のようなものと自然にわかっていたのかもしれません。

柿はおいしいだけではなく健康体も作ってくれる食物だったようです。
しかし、柿だけではありませんが「食べすぎ」で薬も毒になることがあります。ほどほどな量を保つことは基本です。

柿について多くを知ってしまうと、果物で迷ったときは間違いなく柿に手が伸びそうになる方もいるのではないでしょうか。

監修

・救急医、内科医 増田 陽子

・救急医、内科医 増田 陽子

専門分野 
微生物学、救急医療、老人医療

経歴
平成18年 Pittsburg State大学 生物学科微生物学・理学部生化化学 卒業
平成22 年 St. Methew School of Medicine 大学医学部 卒業
平成24年 Larkin Hospital勤務
平成26年 J.N.F Hospital 勤務

資格
日本医師資格
カリブ海医師資格
米国医師資格

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