はじめに

脂肪吸引とは、専用の細い管などを用いて脂肪細胞を吸引し、ボディラインを整えるという痩身法の一つです。今回はいくつかの脂肪吸引方法とその費用を紹介し、メリットやリスク及び脂肪吸引後のケアについてご紹介します。

脂肪細胞とは

白色脂肪細胞

白色脂肪細胞は体内で過剰になったエネルギーを中性脂肪に変えて、皮下脂肪や内臓脂肪として蓄えるという働きを持っています。全身に存在しますが、特に下腹部、臀部(でんぶ)、大腿(だいたい:太もものこと)、背中、上腕(腕の上側)に多く存在します。白色脂肪細胞は食べすぎや運動不足によって、細胞が大きくなり、さらに数自体も増えていきます。

褐色脂肪細胞

褐色脂肪細胞は体内の余分な脂肪を分解して熱を産生し、エネルギーを消費するという働きがあります。白色脂肪細胞とは異なり、首の後ろ、肩甲骨の周辺、脇など限られた部分にのみ存在します。褐色脂肪細胞数は乳児期が最も多く、年齢を重ねるにつれて減少し、特に40歳以降は激減します。

脂肪吸引と脂肪細胞

脂肪吸引によって吸引される脂肪細胞は、下腹部や臀部に多い白色脂肪細胞ということになります。食事療法や運動療法によるダイエットでは、生活習慣を元に戻すことでリバウンドが起こります。しかし、脂肪吸引を行うと体内にある白色脂肪細胞そのものを取り除くため、リバウンドの可能性はやや低くなります。

部位毎の脂肪吸引の方法と費用

ここで、実際に行われているいくつかの脂肪吸引の方法と費用をご紹介します。

チューメセント方(陰圧式脂肪吸引法)

vとは、吸引箇所に5mm程度の挿入口を作り、そこから特殊な機械を挿入して脂肪に麻酔液をかけ、陰圧をかけながら脂肪吸引を行います。チューメセント方のメリットは傷跡の目立ちにくさと手軽さです。デメリットは、一度に多くの脂肪吸引はできないため、脂肪量が多い人には向かないということです。

一般的に、部位別の費用は頬が約12万円、二の腕及び肩が約13万円、ふくらはぎ及び足首が約18万円です。

ベイザー脂肪吸引法

ベイザー脂肪吸引法とは、脂肪細胞にのみ影響を及ぼす超音波機械(ベイザー波)を使用して皮下脂肪を液体状に溶解し、根こそぎ吸引するという方法です(吸引量は通常サイズのカニューレの2倍量)。ベイザー波は脂肪細胞周辺の血管などへのダメージを最小限に留めるため、術後の出血・腫れ・痛みが少ないというメリットがあります。施術時間も短く、A美容外科では人気のある脂肪吸引法です。

一般的に、部位別の費用は頬が約18万円、腹部全体が約19万円、ふくらはぎ及び足首が約29万円です。

ライポマティック脂肪吸引法

日本ではまだ普及していない超音波脂肪吸引法ですが、海外では既に主流となっています。ライポマティック脂肪吸引法とは、熱を使わずに一度に広範囲の脂肪吸引ができます。また、脂肪細胞以外の組織(血管や筋肉)に触れると自動停止するため、多量出血などの合併症を防ぐことができます。そのため、施術時間は短く、施術中・後の体へのダメージが少ないというメリットがあります。

一般的に、部位別の費用は腹部全体が約25万円、太ももが約25万円、二の腕及び肩が約36万円です。

ピンポイント法

ピンポイント法とは、手のひらサイズの面積(上腕の一部など)の脂肪をピンポイントで吸引する方法です。施術時間は30分〜です。

一般的に、部位別の費用は、上腕の外側が約8万円、肩が約8万円、背中(脇の裏)約9万円、上腹部及び下腹部が各約12万円、ウエストが約12万円、腰部約12万円、臀部上部及び下部が各約12万円、大腿内側及び外側が各約14万円、大腿前面が約9万円、大腿後面が約8万円となっています。

ボディデザイン法

ボディデザイン法は、ピンポイント用よりも広範囲の面積(上腕全体など)の脂肪を吸引してボディラインを整える方法です。施術時間は1時間半〜です。

一般的に、部位別の費用は二の腕が25万円、上腹部及び下腹部が各38万円、腰部が38万円、大腿内側及び外側が各38万円、膝の内側が21万円、膝の下部が12万円、下腿が38万円、足首が25万円となっています。

脂肪吸引のメリット

ここでは脂肪吸引によるメリットを述べます。

1)部分的に早く痩せることができる

気になる箇所の脂肪細胞のみを取り除くため、部分的に細くなることができます。
運動や食事制限よりも簡単に部分痩せが可能です。

2)リバウンドの可能性が低い

食事療法や運動療法によるダイエットは一端落とした体脂肪や内臓脂肪、体重を維持するには、生活習慣に注意する必要があり、リバウンドに苦しむ人も多いです。しかし、脂肪吸引の場合は、体内にある脂肪細胞数そのものを減らすため、暴飲暴食しない限りリバウンドする可能性は低いです。

3)(脂肪吸引した箇所については)太りにくくなる

2)と重複する部分がありますが、脂肪吸引によって吸引箇所の脂肪細胞そのものが減ってしまうため、その箇所については太りにくくなります。

脂肪吸引のリスク

局所あるいは全身麻酔を行い施術するため、一定のリスクが伴います。ここでは脂肪吸引のリスクについて説明します。脂肪吸引による術後合併症を見ていきましょう。

1)比較的起こる確率の高い合併症

吸引箇所やその周辺の痛み、腫れ、内出血(青あざ)、むくみ、傷跡、動かしにくい感じ、つっぱる感じといった症状は吸引方法や範囲によって程度に差はあるものの、確実に起こる症状です。

2)時々起こる合併症

時々起こる合併症(確率は数%程度)としては、発熱、貧血、吐き気・具合いが悪くなる、倦怠感、色素沈着(皮膚が黒くなる)、しびれなどがあります。
術後3日から5日目までは37℃台の発熱が見られることがあります。38℃を超えるような場合は、脂肪吸引を受けた病院をすぐに受診する必要があります。

元々貧血気味であったり、脂肪吸引による出血量が多かった場合は貧血によるだるさ、倦怠感、吐き気、微熱など様々な症状が出る可能性があります。吸引箇所からの出血や痛みがなければ貧血症状は自然と消失していきます。予防的に鉄分の多い食事やサプリメントで補うのも良いでしょう。鉄剤を処方してもらうのもよいでしょう。

脂肪吸引によって吸引箇所周辺の血管が損傷を受けると、血行不良となり、一時的に色素沈着が起こります。色素沈着が現れる場合は、内出血が目立たなくなる術後2週間から3週間目頃です。元々の血流状態など個人差があるものの、自然と消失していきます。消失するまでの目安は術後半年から1年程度と言われています。

術後合併症の発症や重症化の確率を下げるために

脂肪吸引による合併症の起こる確率を下げるためには、施術件数が豊富で、自分に合った吸引方法で施術を行なってくれる医療機関を選ぶことが大切です。自由診療のために価格が高額になりますが、価格だけにとらわれず、様々なメリットやデメリットを比較して選択するようにしましょう。

また、脂肪吸引を希望する場合は、自身の生活を見直して貧血予防や血行改善に努めることも大切です。

脂肪吸引後のケア

最後に、起こる確率の高い術後合併症を少しでも軽減するためにできる脂肪吸引後のケアについて紹介します。

1)痛み対策

痛みは麻酔の効果がなくなったときがピークとなり、徐々に軽減していきます。痛みが強くなってきたら処方された鎮痛剤(飲み薬や座薬など様々なタイプがあります)を使用しましょう。

2)腫れ対策

腫れ対策は痛み対策と重複する部分があります。鎮痛剤には腫れを抑える作用もあるためです。また、施術した病院で使用する専用の下着(圧迫下着)を指示されたとおり着用することも重要です。

3)内出血対策

内出血対策としては、専用の圧迫下着を着用することで悪化を防ぐことができます。塗り薬を処方された場合は、患部に塗布するようにしましょう。

4)むくみ対策(及びつっぱる感じや動かしにくい感じへの対策)

むくみはリンパ管を流れるリンパ液が滞るために起こります。施術を受けた部分より末端(大腿の施術であれば下腿がむくみ、上腕の施術であれば前腕がむくみます)に現れ、腫れが引いてきた頃に目立つようになるのが特徴です。

対策としては、むくんでいる部分のマッサージです。施術部分は避けて、末端から心臓方向に向かって、心地良いと感じる程度に行います。また、水分の排出を促すためナトリウムを多く含む食品を避け(一般に塩辛いもの)、カリウムを多く含む食品(野菜や果物)を積極的に摂りましょう。腫れ対策と同様に圧迫下着を着用することも大切です。

むくみがあるために施術部分やその周辺につっぱる感じや動かしにくい感じが出ることがあります。痛みがまだ多少残っていても、マッサージやその部分をあえて動かすことが早く改善する方法です。

まとめ

今回はいくつかの脂肪吸引方法とその費用を紹介し、メリットやリスク及び脂肪吸引後のケアについてご紹介しました。脂肪吸引にはメリット、リスクともにあります。
脂肪吸引に興味がある方は、リスクまでしっかり把握した上で本当に脂肪吸引をするのかどうかを考えましょう!

監修

・救急医、内科医 増田陽子

・救急医、内科医 増田陽子

専門分野 
微生物学、救急医療、老人医療

経歴
平成18年 Pittsburg State大学 生物学科微生物学・理学部生化化学 卒業
平成22 年 St. Methew School of Medicine 大学医学部 卒業
平成24年 Larkin Hospital勤務
平成26年 J.N.F Hospital 勤務

資格
日本医師資格
カリブ海医師資格
米国医師資格

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