はじめに

今回は紫外線によってできるシミ・ソバカスとそれを予防・改善するための美白美容液に焦点を当てます。

そもそも紫外線によってどのようにシミ・ソバカスができてしまうのか、それを改善するための美白有効成分にはどのようなものがあるのかをご説明します。また、プチプライスで手に入る3つの美白美容液についても紹介していきます。

美白美容液の役割とシミ・ソバカス

1)美白美容液の役割とは

美白美容液とは、日焼けによるシミやソバカスを予防・改善する効果のある美容液です。具体的にはシミの元になるメラニンの生成を抑制したり、生成されてしまったメラニンが表皮に沈着するのを防ぎます。

2)紫外線によってシミができるまで


(1)紫外線が表皮細胞に刺激を与える
紫外線を浴びると、表皮(肌の外側の部分)にある表皮細胞が刺激され、メラノサイト(色素を作り出す細胞)に信号を伝えます。この信号は情報伝達物質によって伝えられます。

(2)チロシナーゼによってメラニンが作られる
信号を受けたメラノサイトでは、刺激から細胞を守るためにチロシン(アミノ酸の一種)からメラニン(色素)へと徐々に変換させます。この変換の過程において、チロシナーゼという酵素が必要となります。つまり、チロシナーゼによってメラニンは増加していきます。

(3)ターンオーバーの乱れによってメラニンは排出されずにシミになる
通常であれば、メラニンは表皮のターンオーバー(肌の生まれ変わり)によって角質や垢として排出され、残りません。しかし、紫外線によって表皮細胞に異常が起こると、メラノサイトに対して過剰にメラニンを作りなさいという信号が送られ続け、過剰なメラニンが生成されます。すると、ターンオーバーによって排出しきれずに残ってしまいます。メラニンが表皮細胞に沈着したものがシミです。
また、紫外線の他にも加齢、ホルモンバランスの乱れ、精神的ストレス、物理的ストレス(強く擦れ過ぎるなど)などもターンオーバーを見出し、メラニンが残ってしまう原因となります。

医薬品、医薬部外品、化粧品の違いとは

一般的なスキンケア用品は、医薬品医療機器等法によって①医薬品、②医薬部外品、③化粧品のいずれかに分類されます。シミやソバカスを予防・改善することが目的であれば、医薬品か医薬部外品を選ぶことをお勧めします。

1)医薬品とは

医薬品は病気の治療を目的とした薬のことで、配合されている有効成分の効果が厚労省によって認められています。医薬品には医師の処方箋が必要なものと、(処方箋は不要で)薬局やドラッグストアなどで購入可能なもの(OTCとも言います)の2種類があります。

2)医薬部外品とは

医薬部外品とは、病気の治療よりも予防を目的としており、厚生労働省に許可された有効成分が一定量配合されたものです。つまり、医薬品に準ずるものです。美白美容液の場合は、日焼けによるシミ・ソバカスを防ぐと表示されたものを比較的目にします。

3)化粧品とは

化粧品とは、医薬部外品よりもさらに効果は緩やかなものです。

厚生労働省に認可されている美白有効成分

ここでは、厚生労働省によって美白効果があると認められた成分を一定濃度配合している医薬部外品について紹介します。

アルブチン

チロシン(アミノ酸)とチロシナーゼ(酵素)が結合するのを防いで、メラニンが作られるのを防ぎます。コケモモや西洋梨などから抽出された成分で、資生堂が開発したものです。

エナジーシグナルAMP

肌のターンオーバーを促進してメラニンが沈着するのを抑制します。大塚製薬が開発した成分で、アデノシン-リン酸ニナトリムとも呼ばれます。

エラグ酸

ベリー系の植物(いちご、ラズベリーなど)から抽出された成分です。ポリフェノールの一種のため、高い抗酸化作用を持っています。シミの原因であるチロシナーゼの働きを抑制します。

カモミラET

カモミールから抽出された成分です。炎症を抑える働きがあります。シミの中では最も多いと言われる老人性色素斑(しきそはん)に効果があると言われています。老人性色素斑とは、頬骨からこめかみなどの顔の高い部分にできるシミで、一つ一つは数ミリ程度の小さなものです。また、シミだけでなく、肌の保湿や血流促進といった効果もあります。

コウジ酸

麹(こうじ)菌から抽出された成分です。チロシナーゼの働きを抑制してシミができるのを防ぎます。

トラネキサム酸

資生堂が開発した成分で、メラノサイトが活性化するのを抑制したり、チロシナーゼの働きを抑制する働きがあります。スキンケア商品の他、内服薬(飲み薬)にも配合されることのある成分です。

ニコチン酸アミド

ビタミンB3で、ナイアシンD-メラノとも呼ばれます。メラニンが表皮細胞に受け渡されるのを抑えます。

ビタミンC誘導体

リン酸型ビタミンCを表皮に吸収されやすい形に変換したものです。チロシナーゼを抑制したり、抗酸化作用があります。その他、ニキビの炎症を抑える効果もあります。

プラセンタエキス

動物(馬、豚など)の胎盤から抽出された成分です。メラニンの生成を抑制して美白効果が期待できるだけでなく、細胞の新陳代謝を高めるため、アンチエイジング効果もあります。

マグノリグナン

カネボウが開発した成分で、ほおの木の樹皮などから抽出されました。チロシナーゼの働きを抑制し、シミの中でも特に肝斑(かんぱん)に効果があるとされます。肝斑は30代から40代くらいの女性(または妊娠・出産を経験した女性)に増えると言わるシミで、閉経後に減少することから、女性ホルモンが影響していると考えられています。

リノール酸

植物油(サンフラワー油など)から抽出される不飽和脂肪酸の一種です。チロシナーゼの分解を促進することによってメラニンの生成を抑えるほか、メラニンの排出を促す効果もあります。

ルシノール

もみの木に含まれる成分です。コウジ酸、アルブチンといった成分よりもチロシナーゼの働きを強力に抑えることができます。ルシノールは、ハイドロキノンという皮膚科等で処方される美白成分と似た構造をしています。

ロドデノール

カネボウが開発した成分です。チロシナーゼに働きかけてメラニンを減少させる効果があります。

4-メトキシサリチル酸カリウム塩(4MSK)

チロシナーゼの働きを抑えてメラニンの生成を抑制したり、沈着したメラニンの排出を促進します。

TM(D-メラノ)

マックスファクターが開発した成分です。メラノサイトに働きかけてメラニンの生成を阻止する働きがあります。また、ニコチン酸アミドと同様に、メラニンが表皮細胞に受け渡されるのを抑えます。

t-シクロアミノ酸誘導体(t-AMCHA)

大豆や卵黄から抽出される成分で、炎症を抑える働きがあるため、ニキビ後の色素沈着に効果があります。

TXC(トラネキサム酸セチル塩基塩)

メラニンの生成を抑制します。肝斑に対して高い効果を発揮します。

終わりに

紫外線によるシミ・ソバカスを予防・改善することが目的であれば、医薬品か医薬部外品の美白美容液を使用することをお勧めします。肌荒れを起こしやすい人の場合は、美白有効成分の他に保湿成分や肌荒れ防止成分も配合されているものが良いです。

美白美容液はプチプラでも問題ありませんが、今回ご紹介した美白成分を含んでいるものにしましょう。
まずはじっくり1本を試してみましょう。

監修

・総合診療医 院長 豊田早苗

・総合診療医 院長 豊田早苗

専門分野 
総合診療医

経歴
鳥取大学医学部医学科卒業。2001年 医師国家試験取得。
2006年とよだクリニック開業。
2014年認知症予防・リハビリのための脳トレーニングの推進および脳トレパズルの制作・研究を行う認知症予防・リハビリセンターを開設。

資格
医師免許

所属学会:総合診療医学会、認知症予防学会

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