はじめに

喫煙は身体に様々な悪影響を及ぼします。タバコには人体にとって有害な物質が200種類以上も含まれているといわれており、その中でも「ニコチン」や「タール」といった物質は有名です。ニコチンはタバコへの依存性を高めるはたらきがあり、タールには発がん性があることが確認されています。

このように喫煙は人体にとって悪影響を与えるため、「なんとか禁煙したい!」という人も近年では増加傾向にあるようです。この「禁煙したい」を補助してくれるのが禁煙補助薬で、最近ではニコチンを含まない禁煙補助薬である「チャンピックス」が注目を集めています。

チャンピックスとは

チャンピックスとは、上にもあげたように禁煙を補助するための禁煙補助薬になります。通常喫煙中はタバコに含まれるニコチンが、脳のニコチン受容体に結合することで、脳から「ドーパミン」とよばれる快楽物質が放出されます。そのためタバコを吸うと快楽を感じることができるため、脳はますますタバコを要求するようになり、これが依存の原因となってしまうのです。

禁煙補助薬はこのタバコに含まれるニコチンの代わりに薬の効果を利用して、徐々にニコチンの量を調節し、禁煙時に現れる離脱症状を回避しながら禁煙することを目的としています。

禁煙補助薬には「ニコチン」を含むものと含まないものがあります。ニコチンを含むニコチン製剤での治療法はタバコに含まれるニコチンの代わりにニコチン製剤を使用することで、徐々に離脱症状を緩和しながら「タバコを吸う」という習慣から抜け出し、最終的にニコチン依存症から抜け出すというものです。

ですが、今回ご紹介するチャンピックスは、このうちニコチンを「含まない」禁煙補助薬になります。チャンピックスはニコチンの代わりに「バレニクリン」と呼ばれる物質が含まれています。このバレニクリンはニコチンの代わりにニコチン受容体に結合し、ニコチン製剤と同じように禁煙に伴う離脱症状を緩和することができるとされています。

チャンピックスの効果

チャンピックスの効果としては、上記のようにタバコに含まれるニコチンの代わりにニコチン受容体に結合することで、徐々に禁煙を促進することが主です。

具体的には、離脱症状に伴うイライラ感や絶望感、情緒不安定、集中力の低下といった離脱症状を緩和する作用があり、スムーズに禁煙することができるようになります。また、チャンピックスの特徴として、チャンピックスを内服中に再度喫煙してしまっても、「タバコをおいしいと感じない」「タバコを吸ってもすっきりしない」などのタバコから得られる満足感を小さくする働きもあります。

チャンピックスの禁煙成功率

通常禁煙補助薬などを使用せずに禁煙を試みた場合、成功率は約5%といわれています。ですが、チャンピックスを使用した場合は、約15倍以上の78.5%にものぼるとされています。チャンピックスは禁煙するための効果が高いと言えます。男女別では男性が79.1%、女性が76.6%とされており、年代別で見ると50代での禁煙成功率が高い傾向にあるようです。

チャンピックスの副作用

チャンピックスの副作用としては、頭痛や倦怠感、吐き気、胃の不快感、食欲不振、便秘、イライラなどの情緒不安定など様々な症状があります。ですが、これらは個人差が大きく、必ずしも全員に同じような症状が現れるわけではありません。

ですが、稀にめまいや意識障害などといった症状が現れる場合があるため、チャンピックスを内服中は車の運転を控えた方がよいでしょう。また、もともと精神疾患を持っている方は、その症状が悪化してしまうことがあるため、内服する前に、必ず医師にその旨を伝え、しっかりと相談したうえで内服するようにしましょう。

このように、チャンピックスは禁煙するための高い効果がある反面、副作用が起こることもあるため、もし気になる症状が現れたら、自己判断で継続・中止せず、必ず医師に相談するようにしましょう。

おわりに

喫煙は身体に多くの悪影響をもたらします。ですが、ニコチンによる依存性により、禁煙したくてもなかなか禁煙できない、という人が多くいるのも事実です。そのため、もし本当に禁煙したいのであれば、ぜひ一度チャンピックスを試してみてはいかがでしょうか。「禁煙したい!」と思ったときがはじめ時です。ぜひ自分に合った禁煙方法を見つけてみてください。

監修

・総合診療医 院長 豊田早苗

・総合診療医 院長 豊田早苗

専門分野 
総合診療医

経歴
鳥取大学医学部医学科卒業。2001年 医師国家試験取得。
2006年とよだクリニック開業。
2014年認知症予防・リハビリのための脳トレーニングの推進および脳トレパズルの制作・研究を行う認知症予防・リハビリセンターを開設。

資格
医師免許

所属学会:総合診療医学会、認知症予防学会

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