虫歯とは

虫歯ってなに?

虫歯とは、ストレプトコッカス・ミュータンスなどの虫歯の原因菌が産生する乳酸によって、歯が溶かされる病気です。う蝕症という病名が正式な病名です。英語ではDental Caries(デンタル・カリエス)といいます。
風邪とは異なり、虫歯は進行性の病気です。一度なってしまうと自然に治ることはまずありません。また、一度治療したとしても、再発してしまうこともある病気です。しかも、1つの歯に、複数の虫歯が生じることも珍しくありません。

虫歯の症状

虫歯の症状は、まず歯が溶かされること、つまり脱灰です。これによって歯に穴が開きます。
昔の人間は、虫によって歯が食べられてしまい、歯に穴が開くと考えたので”虫歯”という言い方をするようになったそうです。
”虫歯は痛い”というイメージがありますが、かならず痛みを伴うものではありません。初期段階の極めて小さな虫歯では、痛くならない場合がほとんどですし、あまりにも進行しすぎると、歯の神経が感じなくなるので、痛みを感じなくなります。

虫歯の分類

虫歯は、穴の深さ、つまり進行度によって小さいものから順にC1からC4までの4つに分類されています。

C1

エナメル質とよばれる歯の最も外側の部分にだけ虫歯が生じた状態です。
 エナメル質は、骨よりも硬い、つまり身体の中で最も硬い部分といわれていますが、虫歯菌の産生する乳酸には弱く、溶かされてしまうのです。
 なお、エナメル質には、歯の神経はありません。ですので、C1の虫歯であれば痛みを感じることはありません。

C2

エナメル質の内側にある象牙質にまで虫歯の穴が広がった状態です。
 C2の虫歯でも、象牙質のごく一部に留まっている場合は痛みを生じることはないのですが、少し深くなってくると、冷たいものやあついものの刺激に敏感になり、痛みや違和感を感じるようになります。

C3

虫歯の穴が、象牙質の内部にある歯髄、いわゆる歯の神経にまで達した状態です。
 歯髄にまで虫歯が進行すると、激しい痛みを生じるようになります。

C4

虫歯がかなり進行し、歯が歯根くらいしか残らなくなった状態です。
 多く場合、抜歯になります。この状態にまで虫歯が進行すると、歯の神経が死んでしまいますので、かえって冷たいものや熱いものの刺激に対する痛みは感じなくなります。腫れたり膿んだりする痛みに変わります。

虫歯治療の費用と期間

虫歯の治療法は、虫歯の進行度合いによって異なります。

C1

虫歯の初期段階であるC1であれば、削って詰める治療、つまり充填処置が行なわれます。
 充填処置で使われる治療材料は、コンポジットレジンとよばれる歯の色に合わせたプラスチックが多いです。その他、グラスアイオノマーセメントというセメントを使うこともあります。
 充填処置なら1日で完了しますし、保険診療で受ける場合、三割負担で1本あたり800〜1000円ほどでできます。

C2

C2では、C1と同じくコンポジットレジンなどによる充填処置が行なわれます。コンポジットレジンでは強度などの関係で治療が難しい場合は、インレーとよばれる小ぶりの金属製の詰めものを選ぶこともあります。
 インレーを装着する治療は、歯型をとらなければならないので、最短でも2日はかかります。
インレー治療は、歯によって費用に違いがあります。インレーの装着費用は600〜1400円くらいです。

C3

C3に至れば、歯髄にまで虫歯が到達しているので、削って詰めるだけでは治せません。抜髄とよばれる歯髄を取り除く治療が必要となります。
抜髄したのち、根管とよばれる歯髄があった空間をガッタパーチャという治療材料でしっかりと塞ぎ、その上で被せものを装着して噛めるようにするので、治療の期間が長くなってしまいます。場合によっては、2ヶ月くらいかかることもあります。
被せ物の費用は、奥歯の場合で3500円くらいになります。それに歯髄の治療代やかぶせを入れるための心棒を装着する費用などが加わってきますので、C2までの治療と比べるととても高くなってしまいます。

C4

歯根しか残っていないC4は、虫歯治療が出来ず、抜歯になることも珍しくありません。特に歯肉よりも下の方にまで虫歯が進行している場合は、抜歯になると考えて間違いありません。
 言い方を変えれば、歯肉よりも上で虫歯が終わっていれば、残せる見込みがあります。
 その場合は、感染根管治療という死んでしまった歯髄を取り除き、根管内部をきれいに消毒する治療が行なわれます。その後の流れは抜髄と同じで、根管内をガッタパーチャで塞ぎ、被せものを装着する治療を行ないます。
 感染根管治療で歯を残せたとしても、やはり治療期間は長くなり、2ヶ月くらい要することも珍しくありません。

虫歯の予防法

虫歯は進行性の病気ですから、なるべくならならないように予防したいものです。

フッ素

フッ素には、乳酸によって脱灰された歯を治す再石灰化という働きがあります。また、フッ素によって再石灰化された歯は、エナメル質の組成にフッ素が取り込まれ、虫歯になりにくくなるという特徴があります。
また、フッ素には虫歯菌の活動性を低下させ、乳酸を作りにくくさせる効果もあります。
この3つの働きで、フッ素は虫歯を予防します。
ただし、再石灰化が可能なのは、COとよばれるC1の直前の状態までです。どんな虫歯でも再石灰化させて治すわけではありません。
フッ素を配合した歯磨き剤や洗口剤が発売されていますから、それらを上手に利用しましょう。

シーラント

シーラントとは、主に奥歯の噛み合わせ面にある深い溝や穴を専用の充填材で埋めて塞いでしまう予防法のことです。
こうした溝や穴は、食べカスが挟まりやすく、虫歯になりやすいため、虫歯になる前に塞いでしまおうという考え方に基づきます。
シーラントは、自宅では出来ないので歯科医院で受けてください。

プラークコントロール

プラークとは、歯の表面についている白いカスのような付着物のことです。プラークの中には虫歯の原因菌など細菌がたくさんいます。
プラークコントロールとは、このプラークを取り除いて、歯やお口を健康に保つことです。
プラークコントロールをしっかり行なうためには、日々の食後の歯磨きをていねいにすることはもちろん、定期的な歯科医院での歯の掃除も欠かせません。
自分自身での歯磨きと歯科医院での歯の掃除の二人三脚で虫歯を予防しましょう。

まとめ

虫歯は、ストレプトコッカス・ミュータンスなどの細菌、いわゆる虫歯菌が原因で起こることが明らかになっています。
虫歯は痛いものです。
できることなら虫歯にならないようにしたいところです。
そこで、虫歯菌が増えないようにプラークコントロールをしっかり行いましょう。そして、フッ素やシーラントなどの予防策も実践し、虫歯にならないように予防しましょう。

監修

・日本口腔外科学会専門医、日本口腔科学会認定医 見立英史

・日本口腔外科学会専門医、日本口腔科学会認定医 見立英史

専門分野
歯科、口腔外科

経歴
九州大学歯学部卒業。2003年歯科医師免許取得。2009年博士号(歯学)取得。九州大学病院顎口腔外科医員。2011年医療法人仁慈会西原歯科勤務。2013年九州大学病院顎口腔外科助教。2016年福岡歯科大学口腔外科助教。2018年長崎大学病院 顎口腔再生外科

資格
歯科医師免許
日本口腔外科学会専門医
日本口腔科学会認定医

所属学会
日本口腔科学会
日本口腔外科学会
日本口腔腫瘍学会

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