はじめに

冬は体が温まるお酒を飲みたいと考えている人もいるかもしれません。
ただ、温かいお酒を飲むにしてもどのようなお酒を飲めばいいのでしょうか?

今回は東洋医学で考える『冬』とそんな冬に合ったお酒の飲み方と、素敵なお酒をご紹介します。

冬ってどんな季節?

『冬』とはとっても寒い季節です。また、東洋医学でもこの考え方は変わりません。

冬に起こる身体の変化から、『冬』を考えてみると、寒くなると身体は縮こまるかと思います。
冬場に暖房もつけず、タンクトップと半ズボンで大の字になって寝ている人はあまりいないのではないでしょうか?身体はぎゅっと抱え込み『さむい、さむい』と言いながら手のひらをハーッとするということが冬の象徴のような行動かと思います。

これこそが、東洋医学でみる『冬』の特徴になります。
冷えて固まる、縮み込むといった目にしている作用が身体や自然の中の現象として起こっています。

また、冬は『蔵(ゾウ)』の季節という言われ方をしていて、熱やエネルギーを外に逃がさず蓄える季節であるとも言われています。

冬にオススメのお酒は?

東洋医学でいう『冬』が、どのような捉え方をしているかをもとに、楽しく健康的に飲めるお酒の考え方をご説明します。

冬の冷えは表向きだけ温めても良くなく、しっかり芯から力をつけて温める必要があります。
そこで、お酒の『熱』の性質を利用して、冷えて固まったものを温めるという考えです。
それにプラスして、エネルギーをつけるため少し味のしっかりしたもの、芯のある味のものを選ぶのも身体の底から力をつけるという意味では良いです。

また、東洋医学で冬に配当されている味は『鹹(カン)』つまり『しおからみ』なのですが、これはまだ塩が貴重だった時代の話になります。
これは、現代でいう、身体の最も芯の部分になる骨を造るのに必要なカルシウム、冬に起きやすい高血圧、腎臓の機能とも関わりの深いカリウムなどミネラルになります。

上記を踏まえて、ただ温かい、ただ熱(アルコール度数)が強いだけではないお酒をまとめてみました。

① 温まるもの(少しアルコール度数が高いもの)
② 味の芯が明確なもの(味がしっかりしているもの)
③ ミネラルを感じるもの

これらをポイントにお酒を選ぶと、身体も嬉しく心も楽しくなるかもしれません。
素敵なお酒ライフを送る一つのきっかけとして、参考にしてみて下さい。

具体的には何を飲めばいいの?(日本のお酒編)

実際どのようなお酒を買って、どのような飲み方をすれば良いのでしょうか?

【日本酒】
日本酒のお燗にはMAX55℃前後の『飛び切り燗』から約5℃刻みで
『熱燗→上燗→ぬる燗→人肌燗→日向燗』と常温のことである『冷や』まで実に6段階でその楽しみ方を変えられます。『純米or本醸造』と書かれたものは、お燗に合うかと思います。

純米は原料にお米のみを使用し、まさにお米の旨みと芯のある味わいを楽しむ造り方をしています。
本醸造は使用するお米をあまり削らずお酒を造るため、雑味まで合わせてお米の味を楽しむホールフードの感覚に近い造り方をしています。

お好みのお燗方法で楽しんで頂ければ、素敵なお酒ライフになるかもしれません。
筆者は、佐賀県、石川県、滋賀県のお酒は味の芯がしっかりしていて濃厚な旨みをもっていることから、お燗向きのお酒なのではと思っています。

【焼酎】
飲み方はお湯割りがオススメです。
『お湯割りはまずお湯を入れてから焼酎を入れるんだ』なんてことを言われたことがあるという人もいるかもしれません。これはアルコールの作用を利用した科学になります。

原料のオススメは、土中で大地の力を沢山もらって育った芋焼酎です。
その中でも、さわやかジョイホワイト(お芋の名前)やお菓子作りに使われる紅芋よりも、冬は断然、黄金千貫(お芋の名前)を黒麹で作ったものが良いかと思います。

黒麹でつくられた焼酎は味わいも深く、骨太なものが多いので、冬には良いのではないでしょうか。
時間と心に余裕のある方は飲まれる数日前にあらかじめ水で割った焼酎を温めて飲む『前割り』という飲み方をしていただけると、より美味しく楽しく口にできることと思います。

【梅酒】
梅酒は漬けるお酒によってその味わいが変わってくるものになります。
冬には一般的な焼酎で漬けたものでなく、ブランデーで漬けられたものにチャレンジしてみてはいかがでしょうか。

ブランデーの深い味わいが青梅のさわやかな酸味とマッチして、とても素敵な味わいです。
ブランデー漬けの梅酒をストレートで飲むのも良いかもしれません。

具体的には何を飲めばいいの?(海外のお酒編)

次は海外のお酒をご紹介させて頂きます。

【ワイン】
ワインて種類が沢山あってわからないという方もいるのではないでしょうか?
基礎知識として、国とブドウ品種を覚えると良いかもしれません。

国柄はワイン造りにも反映されているので、国柄のイメージと赤・白5種類づつでも覚えるところから始めると良いでしょう。

今回は、ブドウ品種のご紹介をします。
まずは、『マルベック』です。
マルベックは、フランスのカオール地方とアルゼンチンでよく造られているブドウになり、マルベックから造られるワインの別名が『黒ワイン』と呼ばれています。その名の通り、色が濃く、タニック(渋みしっかり)で果実の味はしっかりしています。また、丸みがあって優しい味わいだけでなく、ポリフェノールも多く配合されています。
マルベックは、味の中心がしっかりしているものが多く、土っぽいミネラル感が感じられるものもよく見かけます。こんなマルベックは冬にぴったりかと思います。

二人でしっとり、優しい夜をという時はフランス・カオール産を、みんなで楽しくお肉料理を囲んでなんて時はアルゼンチン産をという使い分けも良いかもしれません。

【ビール】
『スタウト』を代表とする黒いビールをご紹介します。
香ばしい風味とどっしりとした旨みで冬向きで、芯のある味を体現したビールです。

重たい味が多く、冷たいものを沢山飲んで身体が冷えるなんてことにも繋がらないので、寒い中でもビールが飲みたいときには良いのではないでしょうか。

【カクテル】
お酒の中でもカクテルは『温かいお酒』の幅が広いです。
今回はタイプ別3つのカクテルをご紹介します。

ちょっと、忙しかった日やイライラしちゃった日には、『アイリッシュ・コーヒー』はどうでしょうか?
アイリッシュウイスキーとコーヒーをベースにしたカクテルで、骨格のしっかりした味わいと、コーヒーの香りでリフレッシュできるかと思います。また、コーヒーの持っている苦味は余分な熱を抑えてくれる性質があるので、アルコールで必要な熱を身体に入れて、余分な熱を苦味で取り去ることができ、東洋医学的にも良くできたカクテルです。

次は、『ホット・バタード・ラム・カウ』です。
ダーク・ラムとミルクで作るカクテルで、ミルクの優しい口当たりとダーク・ラムの甘味と深さに
少量のバターがコクを加えてくれます。
手も足も冷え切っていて、最近お腹の調子も悪いかもというときは、このカクテルの優しさに包まれてみてはどうでしょうか。

最後に紹介するのは、『ホット・ブル・ショット』です。
嫌なことがあった日や、飲み過ぎた次の日の気分を変えたい時は、ビーフ・ブイヨンとウォッカにお好みでタバスゴや塩・胡椒を加えて作る『ホット・ブル・ショット』を飲んでみてはどうでしょうか。

ビーフの旨みを堪能しながら、タバスコや胡椒のピリッと感で、気分の曇りもピッと切り替えできるかもしれません。

まとめ

いかがでしたでしょうか。
一言にお酒といっても、飲む季節を知り、お酒の持つ性質や味の持つ性質を知るだけで、あなたの好みと身体が欲しているお酒にそっと手が伸びて楽しくなるのではないでしょうか。

『冬』のポイントを押さえることで、あなたに合った最高の一杯との出会いを楽しみましょう!

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