現在の活動内容を教えてください。

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御茶ノ水でアイム鍼灸院とアイムプラスという店舗の経営をしています。経営のメインは妻がやっており、スタッフ教育や治療などは主に私が担当しています。
またアイムプラスと同じビルの3階では会員制のヨガスタジオの運営をしています。

その他には研究として、鍼灸師がどのような治療をしているのか実態調査を行っており、調査結果を学会などで発表する活動を行っています。

鍼灸師になったきっかけ

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小学生のころから鍼治療を受けていたので、鍼灸自体は身近な存在でした。
そこから大学生までの約16年間スピードスケートをやっていたのですが、私が大学2年生の時に怪我をして運動神経障害になってしまいました。
リハビリをして復帰後、将来の進路を考えた時に今まで16年間続けてきたスピードスケートの経験が活かせる職業って何だろう?
と考えた時に真っ先に浮かんだのが鍼灸師でした。

その時に起こった症状としては、野球選手やゴルフ選手がなるようなイップスという症状に似ていて、特定の動きをした場合の時にだけ発症するものです。

私の場合だとスケートのフォームをとり、スケートのブレード(刃)が着氷する時にだけ左足が少しぶれる症状が発症するのですが、スピードスケートは100分の1秒を争う競技ですので、毎回足がぶれるのは選手にとって致命的です。

その影響で転倒するリスクやブレード(刃)で脚を切るリスクもあり、恐怖から全力で滑れなくなってしまいました。
それまではトレーニングをして、大会で成果を出すことに全力を挙げて取り組んできました。ですが、その結果が成績やタイムではなく、運動神経障害だったとき、症状を発症し自分の身体が思うように動かない事が、こんなにも辛いものなのかと実感しました。
一時期は自分の人生はこれで終わったと思うほどショックで落ち込みました。

その症状を治療する中で、同じ鍼灸やマッサージ治療でも自分の身体を理解した人に施術を受けるのとそうでないのとでは、施術後の身体の感覚が違い、いつもよりスケート時の足のブレの軽減が実感でき、その時に自分の身体と向き合う大切さを学びました。

そのような経験と、選手時代は常に身体のことを考えていた事もあり、身体をみれる仕事なら自分に合うと思い、鍼灸師になろうと決心しました。

鍼灸の面白さや、鍼灸院の経営の大変さ

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来院された患者さんに治療を満足してもらい、感謝されるのはとても嬉しかったですが、実はある日、それ自体にあまり興味が無かった事に気がつきました。

鍼灸治療は仕事としては楽しく魅力的だったのですが、自分の知的好奇心という観点ではどこか満たされない部分がありました。

そんなある時に、妻の勧めで明治国際医療大学で通信制の鍼灸研究科がある事を知り、もともと研究には興味があった事もあり、入学し鍼灸学の修士を取得しまして、今は研究員として活動しています。

研究は自分の好きな事を自由に研究できるので、とても楽しかったです。
今までは自分の興味がある部分と、仕事の重なる部分が少なかったのですが、研究を通して鍼灸について深く学ぶ事により、視野が広がり自分の興味がある部分と仕事が結びつき、以前に比べて仕事全般が楽しく感じられるようになりました。

私自身、元々は仕事人間なタイプでは無かったのですが、研究を初めてからは休みがなくても大丈夫になりました(笑)

鍼灸院を経営する上での大変さ

開業してから現在まで、鍼灸師を雇用し一緒に仕事をしてきましたが、一治療院の形態では治療や患者対応の本質から教える事が難しいと感じており、鍼灸院と従業員の双方にメリットがあるような人材育成方法を構築するのが現在の課題だと感じています。

今までは自分自身が鍼灸師として働く分には、学習してスキルアップをして患者さんに満足してもらう事に注力すればよかったと思います。

ただ、経営者として鍼灸院を経営するには人材育成をどのようにやっていくか、従業員とチームで仕事をうまく回すためにはどうしたらいいのか、雇用形態そのものの見直しや、鍼灸師のスキルセットとは違うものが多く求められるので日々、試行錯誤して奮闘しています。

研究活動について

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鍼灸師がどのような治療をしているのかをテーマに実態調査をしています。
鍼灸には大きく分けて3つの流派があります。

1つ目は医学・科学的な根拠に基づいている現代鍼灸
2つ目は中国が推し進めている現代中医学に基づく鍼灸
3つ目は日本に昔から存在する伝統的な鍼灸

その中で、日本の伝統的な鍼灸で施術を行っている鍼灸師を対象として研究しています。
刺し方は様々なので、どのような鍼の刺し方をしているのか?
病態によって鍼の刺し方に変化はあるのか?
何故その刺し方を選択したのかなどをアンケート調査しています。

誰にどのような鍼の刺し方をしているのかを決めてしまうと、患者さんのモデルケースを決める必要がある事と、患者さんの状態や病態により、パターンが膨大になり研究が難しいです。

そのため、アンケートを集計し、その結果このような鍼の刺し方が多いので
もしかしたらこのような病態が多いのでは?
と結論づけるような研究を行っています。

講演活動について

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漢方医の先生とも講演をご一緒する機会が多く、漢方の先生は腹診を重要視しております。
私もそれに倣い、腹診を診察で重要視しています。環境のおかげではありますが、東洋医学的な腹診については鍼灸師の中では詳しい方だと思います。
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また、普段の治療では鍼をさすことは多くなく、接触鍼という手法を取る事が多いです。
一般的には接触鍼用のてい鍼やローラー鍼を使う事が多い接触鍼ですが、私の場合は刺す用の鍼である毫鍼(ごうしん)を使って患部に当てたり、擦過したりして「刺さない鍼治療」を行っています。

このような経験から東洋医学的な腹診や接触鍼のやり方についての講演依頼が多く、実技をする形をとり、勉強会や講演会では会場に来た人に鍼灸の魅力が伝わるような講演を行っています。

最後にメッセージをお願いします。

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鍼灸師という職業は人と対面する職業なので、様々な人を診察しますが、似ているような状態の人は居ても、同じ状態の人は二人として居ません。

同じ人でさえも季節が違えば身体の状態は別人なので、私は常に相対する人は違う人だと思い、向き合っています。

患者さんには上手な病院の使い方や治療院の使い方が分からない方が多いと感じます。
これからの鍼灸師は昔の町医者のように、患者さん一人一人に丁寧に時間をかけ生活に密着して患者さんの生活をマネジメントすることが大切だと考えています。
そして、患者さんと一緒に考えられるような鍼灸師が増えて来るといいのではないかと思います。

プロフィール

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小学校から大学までの16年間スピードスケートを競技として続け、そのなかで運動神経障害を経験しました。続けてきた競技の結果が目標の達成ではなく、運動神経障害だったとき「自分の身体が思う様にならない事ほどつらいことはない。」と感じ、その想いから鍼灸師になることを決めました。今ある心と身体の状態はそれまでの生き方の結果でもあります。それを受け入れることは大変苦しい事ですが「ここで少し考えてみよう。もっと良い生き方があるよ。」と、心身が教えてくれているのではないでしょうか。
鍼灸治療は時に感動的な効能を発揮します。どんな症状、病気でもお力になれる可能性がある古くて新しい伝統医療です。状況に応じて最善の治療を提案したいと考えています。

アイム鍼灸院 総院長
医療法人社団ひのき会 証クリニック附属鍼灸臨床研究所 所長
あかし出版 専務
財団法人 谷桃子バレエ団 監事
日本大学 文理学部 体育学科卒
東洋鍼灸専門学校 鍼灸あん摩科卒
明治国際医療大学 大学院 鍼灸学研究科卒

鍼灸師
あん摩マッサージ指圧師

所属学会・団体
(一社)日本東洋医学会、(公社)全日本鍼灸学会、(公社)日本鍼灸師会、日本東方医学会、日本伝統鍼灸学会 学術部員、鍼灸臨床研究会 東方会、経絡治療学会

研究実績
2015年 第43回 日本伝統鍼灸学会学術大会 東京大会 口演発表『日本の伝統鍼灸における鍼施術の実態調査』
2016年 第31回 経絡治療学会学術大会 東北大会 口演発表『経絡治療学会における鍼施術の実態調査』
2016年 第65回 全日本鍼灸学会学術大会 北海道大会 ポスター発表『管鍼法の有無における刺鍼術の使用状況-主に日本の伝統的な鍼灸において』
2016年 WFAS Tokyo/Tsukuba 2016(世界鍼灸学会連合会学術大会)ポスター発表『Research of Current Needling Techniques Using Guide Tubes -Japanese Traditional Acupuncture-』

鍼灸・マッサージのアイム|東京千代田区お茶の水 神保町
https://www.salon-im.com/

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