はじめに

春先になると花粉症の人は鼻水や目のかゆみ、ときには微熱に悩まされます。
花粉症はスギ花粉が注目されがちですが、他にも花粉症を引き起こす植物はたくさんあります。

スギの飛散時期は終わったのに花粉症の症状が出現している場合、別の植物に原因がある可能性があります。

今回は花粉症の種類やそれぞれの時期等を解説していきます。

花粉症とは

花粉症とは、空気中に含まれている飛散した花粉によってアレルギー症状が引き起こされることを言います。
春先から秋にかけては様々な花粉が空気中に飛散しており、それが鼻や目に入り込むと、花粉症の症状が出現します。
花粉症の三大症状はくしゃみ、鼻水、鼻づまりです。

花粉症の種類

日本において花粉症を引き起こす植物にはスギの他にヒノキ、シラカンバ、イネ、ブタクサ、ヨモギ、カナムグラ等があります。
それぞれ飛散する時期は異なり、どの植物によってアレルギー反応を起きているかは人によって違います。
病院で簡単な検査を受ける事で、自分が何の花粉でアレルギー反応を起こしているのかを知る事ができます。

それぞれの花粉症の時期

花粉症を引き起こす植物のそれぞれの飛散時期を以下にまとめました。

・スギ花粉…2~4月にかけて多く飛散します。花粉の飛散距離も長い為、全国的に患者が多く、花粉症の原因植物としては一番患者が多い事で知られています。

・ヒノキ花粉…3~5月にかけて多く飛散します。スギ花粉と同じく、飛散距離も長い植物です。

・シラカンバ花粉…4~6月にかけて飛散します。シラカンバ花粉は生息する北海道に罹患している患者が多いのが特徴で、患者数が年々増加傾向にあります。

・イネ花粉…5~6月にかけて飛散します。飛散距離は100m程と短いですが、稲刈りの時にイネについた花粉が舞い上がる事がありますので、秋に発症する事も多いです。

・ブタクサ花粉…8~10月にかけて飛散します。日本においてはスギ花粉、ヒノキ花粉に続いて患者数が多い植物です。ただし、飛散距離がイネ花粉同様に短いですので、避けて生活すれば、花粉の発症を食い止める事ができる可能性が高いです。

・ヨモギ花粉…8~10月にかけて飛散します。飛散距離は長くないですが、ヨモギは繁殖力が強く、空き地や河川敷といった雑草が多く生えている場所に生息している可能性が非常に高い為、気をつけて避ける必要があります。

・カナムグラ花粉…8~10月にかけて飛散します。飛散距離は数十mとかなり短く、飛散する量も少ないですが、道端等にも生息しているのが特徴です。

それぞれの花粉症の症状とその対策

花粉症はそれぞれの植物によって症状が異なります。
それぞれの植物別に花粉症の症状とその対策を説明していきます。

スギ花粉

スギ花粉は皆さんもご存知の通り、花粉の三大症状と呼ばれているくしゃみ、鼻水、鼻づまりの他、目のかゆみや喉のイガイガ、皮膚症状が出現します。

スギ花粉は飛散距離が長いので、避ける事は難しいですが、外出時にマスクやゴーグルを装着したり、外出から帰ったら玄関先で花粉を払い落とす等、家に花粉を持ち込まない事で、花粉症の症状が悪化するのを防ぐことができます。

ヒノキ花粉

ヒノキ花粉の症状はスギ花粉に順次、くしゃみ、鼻水、鼻づまりの他、目のかゆみや喉のイガイガ、皮膚症状です。

花粉の飛散時期がスギ花粉と殆ど変わらず、スギ花粉と合併して花粉症を発症している場合、症状が重篤化してしまう危険があります。予防法もスギ花粉に準じますが、合併している方はより注意が必要です。

シラカンバ花粉

シラカンバ花粉は先程も説明した通り、シラカンバが多く生息する北海道に多い花粉症です。主な症状はスギ花粉症と同様に鼻水、くしゃみ、目のかゆみです。また、口腔アレルギー症状を起こすことがあります。口腔アレルギーとは、口の中がかゆくなったり腫れたり、といったアレルギー症状が起こる症状でシラカンバ花粉症やヒノキ花粉症の方が果物を食べてしまうと起こる症状です。

何故、花粉症が口腔アレルギーを起こすかというと、果物のタンパク質と、カバノキ科の花粉のタンパク質がよく似ており、シラカンバの花粉に反応する人はこれらの果物にも反応してしまうことがあるからです。口腔アレルギーは人によって重症度は異なり、生の果物のみという方もいれば、果汁ジュースでも症状が出現してしまう場合もありますので注意しましょう。

イネ花粉

イネ科の植物では、スギ・ヒノキ花粉症と同じような鼻の症状、目の症状に加え、皮膚のかゆみなど全身症状が出やすいことが特徴です。また、イネ花粉症の方は小麦の食物アレルギーを発症しやすくなることもありますので注意しましょう。

一番の対策はこの時期に田畑や草むらに近づかない事ですが、それができない場合は必ずマスク等を着用しましょう。

ブタクサ花粉

症状はスギ・ヒノキ花粉症と同様、鼻や目の症状が起こります。また、症状が重い場合、喘息を引き起こす恐れがあります。ブタクサはどこにでもあるので、近所に畑や河川敷がある場合は特に注意して近寄らないようにしましょう。

ヨモギ花粉

ヨモギ花粉症もスギ花粉症の症状に似ていて、鼻水・鼻づまりや目のかゆみなどが主な症状です。
とにかく繁殖力が強いので、茂みには近づかないようにしましょう。

カナムグラ花粉

カナムグラ花粉は鼻や目に症状が出るほか、シラカンバ花粉同様メロン、スイカなどで口腔アレルギーを起こすことがあります。口腔アレルギーは時に重篤なアレルギー症状を引き起こしますので注意して下さい。

まとめ

日本に多い花粉症の飛散時期やそれぞれの症状等についてお伝えしました。
花粉症と一口に言っても、種類は多く、その症状にも特徴があります。

また、飛散量や飛散距離によっては、避けて生活する事が可能な植物もありますので、自分の生活している区域にその植物がどこに生息しているかを注意深く観察することも花粉症に罹患しないために必要なことです。

花粉症と上手く付き合って、症状を悪化させないようにしてください。

監修

・救急医、内科医 増田陽子

・救急医、内科医 増田陽子

専門分野 
微生物学、救急医療、老人医療

経歴
平成18年 Pittsburg State大学 生物学科微生物学・理学部生化化学 卒業
平成22 年 St. Methew School of Medicine 大学医学部 卒業
平成24年 Larkin Hospital勤務
平成26年 J.N.F Hospital 勤務

資格
日本医師資格
カリブ海医師資格
米国医師資格

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