東洋医学が得意とする症状

東洋医学の治療法は、鍼灸治療と漢方治療、あん摩・マッサージ・指圧治療があげられます。それに加えて東洋医学的な食事指導や気功・太極拳の指導まで含めても良いかもしれません。そんな東洋医学には、得意とする症状と不得意とする症状があります。

不定愁訴や胃腸の不調、ストレス、睡眠障害、ホルモンバランスの不調や生理不順が本来東洋医学が得意とする症状だと個人的には考えています。肩凝りや腰痛、膝痛などの痛み疾患にも高い効果を出しています。逆に不得意とする症状は、命に関わる緊急性の高いもの、例えば、骨折や裂傷による出血、心臓麻痺や脳梗塞、脳出血などが挙げられます。こういった症状は、西洋医学が得意とする症状です。

スポーツ選手が多く鍼灸治療を取り入れていることもあり、筋肉系の症状に対して多く鍼治療が行われていますが、鍼灸治療が1番効果を発揮するのは、内科疾患や婦人科疾患、精神疾患だと個人的には思っています。

また、終末期医療の分野やガンの疼痛抑制といった面でも鍼灸治療が良い効果を出しているように感じます。こちらはまだまだ研究や統計を取って実際の程を確認する必要がありますが、現場レベルでは鍼灸治療を快く受け入れられる患者さんが増えているように感じます。

東洋医学に出来て西洋医学には出来ないこと。

これは現時点での話だということを念頭に入れて読んで欲しいのですが、東洋医学では、脈診、舌診、腹診を使い、MRIや血液検査では発見することが出来ない問題、未病を見つけ治療することが出来ています。未病とは、”未だ病まず“ということ。つまり、病気ではないけれど、体調不良が起こっている状態のことを指します。

西洋医学では、器質的変化が症状を引き起こすと考え、さまざまな検査で症状の原因となる問題を探しますが、時には、検査の結果では何も異常が見当たらないということが起こります。その際、西洋医学では対処することが出来ず、様子見にするか、とりあえず何かしらの薬を服用してみるという対処を取ります。ここに西洋医学の現時点での限界と問題点があります。

東洋医学が診ていることは、器質的変化だけではなく、機能的変化を脈診、舌診、腹診で診ています。身体が病む場合は、まず血流の不順や体温の低下、それにともなう機能の低下が初めにあり、長期化する事で器質的変化が起こり、最終的に病気だと診断されます。
機能的変化から器質的変化まで進むスピードは、個人差や問題となっている臓器や器官によって変わります。風邪のように比較的早く病状が進むものもあれば、肝硬変のようにゆっくりと病状が進むものもあります。

東洋医学では、西洋医学では見つけることが出来ない機能的変化を見つけ出すことが出来るため、器質的変化までは起こっていない未病の状態で治療をして症状を改善することが出来ます。

鍼灸治療を受ける時期について

病を患ってから鍼灸治療を受ける人、症状が長期化した後さまざまな治療を試した後に最後の頼みとして鍼灸治療を受ける人が今までは多かったですが、悪化して手を遅れになる前に鍼灸治療を受けることで重い病気に罹る前に身体の状態を回復させることが出来ます。

症状が長期化して、状態が悪くなればなるほど必要とする鍼灸治療の回数が多く期間が長くなります。逆に言えば、軽い症状であれば、短期間で治すことも可能となります。
鍼灸治療は、0歳の赤ちゃんから人生の終末を迎えるまで対処することが出来ます。
体調不良を改善するだけではなく、身体を強くする為にも鍼灸治療が有効です。
健康なうちから鍼灸治療を受けることには予防という観点で大きなメリットがあります。

お抱え鍼灸師を持つことのメリット

困った時に頼れるホームドクターが居ると安心出来るように、困った時に頼れる鍼灸師がいるといざという時にとても助かります。病院に行くほどではないけど、最近体調が優れない。仕事ができないほどではないけど、身体が痛む。生活に支障は出ないけど、眠れなくて疲れが取れない。などといった症状が出た時に相談出来るお抱え鍼灸師、鍼灸治療をしてくれるお抱え鍼灸師がいると生活の質が上がります。

また、定期的にメンテナンスとして鍼灸治療を受けていると身体に不調をきたす前の段階でお抱え鍼灸師があなたが気づいていない症状に気付き、未病の状態で治すことが出来ます。そのサイクルを保つことが出来れば、大きな病気に罹る可能性を減らし、質の高い生活を送れるようになるでしょう。また、健康の相談以外に心のケアもしてくれる鍼灸師さんが増えているので、そういった方をお抱え鍼灸師とすることが出来れば、健康以外の悩み相談も出来るでしょう。

あとがき

東洋医学は、東洋思想の一部です。医療としての面だけに注目しがちですが、鍼灸や漢方治療を行う方々は、身体のケア以外に心のケアにも精通している方が多いです。
それはひとえに東洋思想が単に人間の身体を診る為だけに役立つのではなく、人間の生き方に対してもさまざまな気づきを与えてくれるからです。

西洋医学では病気を診ますが、東洋医学では、人間を診ます。病気を治す為だけではなく、健康なそして質の高い人生をおくる手助けが出来るのが東洋医学の強みです。

それを提供してくれるお抱え鍼灸師が居るとより良い人生を送ることが出来るのではないでしょうか。単なる医療という枠組みを超えた付き合い方が出来るのが鍼灸院という場所であり、鍼灸師という存在です。是非、お近くの鍼灸院を探して自分に合ったお抱え鍼灸師を見つけてみてください。気が合う鍼灸師を見つけることは簡単ではないかもしれませんが、ステキな鍼灸師さんが日本にはたくさんいらっしゃいますので、1つの鍼灸院だけではなく、いろいろな鍼灸院に行ってみて、この人だと思える鍼灸師さんを探してみてはいかがでしょうか?

プロフィール

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松永光将(まつながみつひろ)
鍼灸師
あん摩マッサージ指圧師

神奈川衛生学園専門学校卒業

専門学校卒業後カリフォルニアへの語学留学を経て日本に帰国。1年間在宅訪問鍼灸マッサージで働きながら社会人アメリカンフットボールXリーグ1部 明治安田パイレーツでアシスタントヘッドトレーナーとして活動
2012年から豪華客船へと仕事の舞台を移し、船上鍼灸師として世界中の国の人々を相手に船上で鍼治療を行う。ディズニークルーズ、ホーランドアメリカクルーズ、プリンセスクルーズ、P&O Australiaクルーズと4つの大手客船会社の船での実務経験を持つ。

船を降りている時はバックパックを背負い写真を撮りながら世界を周るトラベルフォトグラファーとしても活動。
世界45カ国、150を超える都市を旅して来た。
世界を周り、世界での鍼灸の可能性を見出し、日本鍼灸を世界に輩出するべくSNSで豪華客船のことや船上鍼灸師の現状、世界の鍼灸事情を発信している。

http://mitsmatsunaga.com

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