陰陽をイメージする

東洋医学のもっとも基本的な考え方に陰と陽があります。

陰は、冷たい、暗い、静止、沈黙、下るなどを表します。
陽は温かい、明るい、活動、騒がしい、昇るなどを表しています。

これら陰と陽がお互いにバランスをとっている状態を永遠に繰り返すことによって、日が出来上がり、年ができあがり続けられます。

陰陽消長と一日の成り立ち

これを陰陽消長といい、この自然界全てを表すことも可能になります。
自然界の陰陽消長の代表は、一日の成り立ちです。
朝方陽が増えてきて、昼で最高に達し、夕方にかけて減り始め深夜で陰が最高になります。これを繰り返し一日が続いていきます。
1日が繰り返されて年が生まれますが、これもまた陰陽消長です。

季節と陰陽のつながり

春になり陽が増えてきて夏至で最高に達し秋にかけて減り続け冬至で陰が最高になる。
つまり一日の陰陽が年の陰陽に繋がっていくのです。
この自然の流れが人体にたくさんの影響を及ぼします。
陰陽の消長変化に逆らうように生活をしていたり、陰だけ、陽だけの生活を続けていると陰陽バランスが崩れ病気になる可能性が増えます。
もちろん体だけでなく「こころ」も病んでしまいます。
ちなみに陰や陽がもっとも多い時、お昼や深夜、夏至、冬至には病気になりやすいという話があります。

眠れない夜

何事も”中庸”が良いという東洋医学の教えがそのまま反映されていますね。
これら陰陽消長の原理をうまく利用し東洋医学は、体の整理をしてくれます。

例えば、夜からだが火照ったり、頭の中にグルグルと余計な考えが浮かんで来たりして眠れない時ってありませんか。
何度も寝返りを打ったり、時には羊を数えて一向に眠れず、ついにはイライラしたり、朝までこのままかと不安になったりと精神的によくありませんね。

特に寝なきゃいけないって思えば思うほどドツボにハマるそんな夜。
どうしますか???

東洋医学で考える

まず、東洋医学的に夜を考えてみましょう。

夜=陰と考えます。
陰=冷える・静止する・静寂・下降・暗いなどが当てはまります。

つまり、夜になると体が自然に冷えて、体内の活動も低下し、脳も休まり落ち着いた気持ちで安眠することが出来ます。
また体の内側に陰が移動し内蔵を栄養することで朝起きたときに疲れが取れ、すっきり起きられるのです。
これらが毎晩の陰の作用によって起こるのです。

陰の時間には陰がしっかりあるのが自然なのですが、この法則にエラーが生じると陰が少なくなり陽が多くなるようになります。
そうなると体が火照り手足がバタバタしてしまったり、余計な考えや昼間にあった事が浮かんで眠れなくなったり、やたら汗が出て何度も着替えたりというような動きが出てくるのです。

こころの中も熱でイライラしたり焦ったり不安になったりその結果余計に眠れないということになるのです。
さてこのようなときはどうするのがよいでしょうか。

陰陽論を利用したテクニック

大抵の人の考えでは、夜寝る前には温かい飲み物を飲んでリラックスしましょうと言うのが定番の睡眠導入ですが、陽が多い状態で温かいのみものを飲むと更に陽を追加することになります。

そうなると、ますます目が血走り、手足が熱くなり余計なことを考え眠りづらくなります。
イライラも増長します。

そうです。
陰陽論でいくと、このときに投入するべきは「冷たいちょっとの水」です。
陰が追加されることで、不思議と眠れるときがあります。
これは陰陽論を利用したちょっとしたテクニックになります。

また鍼は熱を退けたり移動させる力があります。
それを利用して昼のうちに陰陽のバランスを取るように鍼をすると(主に陽を取り去り陰を増やす鍼)
逆に冷えたて手足が震えたりするときは温かい飲み物やカイロそしてお灸などで温めるなどが有効となりますね!


次回は陰陽転化の利用方法です。

プロフィール

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鍼灸師 船水隆広

経歴
東京医療専門学校 鍼灸マッサージ科科長
心身健康科学修士 
伝統鍼灸学会理事 総務部長 
経絡治療学会評議員 
更年期と加齢のヘルスケア学会幹事 
多文化間精神医学会会員

20年の臨床歴をもち、欧米やアジア各国など、国内外で鍼灸の指導に当たっている。
ストレスケアとこころの病に対する治療が専門分野。

震災直後には被災地にて鍼灸治療スタッフとして施術を行う。
施術効の科学的研究など幅広く活躍。目指すのは「やさしく美しい鍼」。
著書に「深い疲れをとる自律神経トリートメント(主婦の友社)」がある。

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