ニュージーランドに行くまでの経緯

インタビュアー 村中僚太(以下:Ryota): 本日はよろしくお願いします。では早速なんですが、どういう経緯でニュージーランド(以下NZ)に行くことになったか。きっかけから教えていただけますか?

平野大樹先生(以下、平野先生):僕はNZで働く前はクルーズ船で働いていて、割と楽しい毎日を送っていました。船会社から次の契約をもらっていたのですが、NZの永住権を取ることが年々厳しくなっているので、一旦船の仕事は辞めてNZに行こうと思いました。

Ryota:クルーズ船で働いていた時、よくNZには来ていたのですか?

平野先生:そうですね。オーストラリア、ニュージーランドクルーズでよく訪れていました。あとはクルーズで一緒に働いていた仲間の何人かがNZ出身ということもあります。ただクルーズ後のキャリアをここに決めた一番の理由は鍼灸師として働きながら永住権が取りやすいというのが大きいです。 日本も好きなのですが、もし日本が何かの形で危なくなった時、海外にも拠点があるのは強いと思いました。そして最初から永住権をとることを目標にまずはネイピアという所で雇われで働いてみて、NZでの鍼灸の需要や保険制度勉強した後、居住権が無事取れたので今住んでいるネルソンで開業して1年になります。

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Ryota:実際に開業してみてどうですか?集客や新患は結構来るものなのでしょうか?

平野先生:そうですね。僕はこちらの地域のPhysio therapistやOsteopathの人、色んな人と協力をしながらやらせてもらっているので、集客にはそれほど困っていません。大体1週間に10人ほどの新患さんに来てもらっていますが、半分が口コミ、半分がサイトからといった感じです。正直自分で頑張ろうと思えば、もっと集客できると思っています。

Ryota:クルーズ船時代からやり手だった平野先生、さすがです(笑)

ニュージーランドでの1日の流れ

平野先生が経営する治療院の外観

平野先生が経営する治療院の外観

6:00 起床、支度
7:00〜9:00 ビーチを散歩、最初の患者さんが来るまで読書
9:00〜12:00 治療
12:00〜14:00 お昼休憩、時間があれば仮眠
14:00〜19:00 治療
19:00〜24:00 夕食、自由時間
24:00 就寝

1日、大体8〜10人程度治療する。 クルーズ船時代は多い時で20人以上治療していたので、全然しんどくは無いと話す平野先生。

鍼灸師になったきっかけ

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Ryota:平野先生が鍼灸師になったきっかけについて教えてください。

平野先生:高校時代テニスをしていたのですが、その時に腰を痛めてしまって、その時カイロやマッサージで治してもらいました。それで治療家という仕事が気になり調べたのですが、カイロや整体は民間資格しか無かったので国家資格の方が良いだろうと思い、鍼灸師の資格を取りました。

Ryota:学生時代はどんな生徒だったんですか?

平野先生:太師流や深谷灸の勉強会も行っていましたが、バイトや海外旅行にも平行して結構行っていましたね。その当時から海外に興味があって、当時付き合っていた彼女がアメリカに留学していたので、そちらに遊びに行ったりとかしていました。
卒業後は三重の米山クリニックというところで研修をさせていただきました。そこの米山先生が医師なのですが元鍼灸師という方で、レントゲンやMRI、血液検査などクリニックならではの強みを活かし、色々と勉強させてもらいました。そこで研修した後は大阪にある米山先生の実家の鍼灸院で研修するのが通常の流れなのですが、先生からもうお前は大丈夫だ。と言ってもらったので、かねてから興味のあったクルーズ船で働くこととしました。

クルーズ船鍼灸師時代

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Ryota:クルーズ船時代はどうでしたか?

平野先生:すごく楽しかったですよ。Ryotaさんも知ってるでしょ(笑)
今でも覚えているのは一度会社の偉いさんが自分の働いている船にやってきて、僕はその時7日間クルーズの最初二日で8,000ドル(80万円)くらい売上があったんですよ。だから特に怒られないだろうと思っていたらdisappointed(お前にはがっかりだ)と言われ、この会社はおかしいと思いましたね。 でも変な会社でしたが、船で学べたことはかなり大きいです。
やり残したことといえば、日本人鍼灸師が誰も成し得なかった、売り上げ一位を一度取ってみたかったですね。一番良かった月は1日あたりの平均売り上げが1,500US💲(15万円)位いったのですが、それでも6位でした。

Ryota:最近では売上1位の鍼灸師は1日平均4,000ドルを超えたりしていて、月商でいうと1,200万円を超えています。この数字はいくらクルーズ船に富裕層が多いといえど、ちょっと異常な数字だとは僕も思っています。 僕はもう何回かTop10に入ってそれで満足して一位になろう!とは全く思わなかったんですが、そこで一位を目指そうとする所が凄いですね。

平野先生:何か目標を設定して、それを達成した時が嬉しいんですよね。なのでどんどん目標が高くなっていってしまう。今はこの感情とうまく向き合うのが自分の課題なのかもしれません。せっかく自然がたくさんあって、スローライフを満喫しやすいNZにいるので、それもここでゆっくり勉強していきたいです。

今後の豊富、若い世代の鍼灸師に一言

優しい光が差す、平野先生の治療部屋

優しい光が差す、平野先生の治療部屋

Ryota:NZでこれまで割と計画通りにいっている平野先生、今後の展望について教えてください。

平野先生:今後一人雇うことは決定しています。その人にこのネルソンの院を引き継いでも大丈夫な状態が整ったら、自分はオークランドあたりにもう一院作ろうか、それかこちらで医学部に入学しようか考えています。今はコロナで先の予定が立てづらいので流動的に色々と考えています。言っていることがコロコロ変わると周りから言われることもあるんですが。自分の中では全部つながっているので周りの声はあまり気にしていません。

Ryota:何か若い世代の鍼灸師に伝えたいことはありますか?

平野先生:伝えたいことかー、何だろうな。
長い物に巻かれるな(笑)自分も色々学生から質問をもらったりすることもありますが、今流行りのオンラインサロンに入ったり、成功してる人にすぐ助言をもらえるような環境だとやる前に知ったような気になってしまうと思うんですよね。 僕もたくさん失敗してきた経験があって今の考え方や、やり方に活きているので、まずは色々自分で興味あることや、やりたいことをやってみることが大事だと思います。

あとがき

平野先生の院から徒歩5分で行けるネルソンのビーチ

平野先生の院から徒歩5分で行けるネルソンのビーチ

コーヒーやワインにも造詣のある平野先生。色々と自分で興味のあることを見つけ出し、それをやる時間や、資金を作るためにはどうしたら良いかスマートに考え行動に移す。
今後NZで更に日本人の雇用を拡大していく予定もあるようなので、海外での鍼灸に興味のある方は是非、平野先生のツイッターをチェックしてみてください。(インタビュアー:村中 僚太)

プロフィール

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2011年 森ノ宮医療大学 鍼灸科卒業 はり、きゅう師 国家資格取得
2011年~2014年 米山クリニック勤務
2014年~2018年 ロンドンのスパ会社Steinerにてクルーズ船鍼灸師として勤務開始。
80カ国以上を旅しながら、日本人としては数少ないトップランカーに。
2018年 ニュージーランドに渡りNapier Acupuncture勤務
2019年 8月 Nelson Shinkyu Acupuncture Clinicを開業

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