鈴木睦代先生〜プロフィール〜

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2009年 明治国際医療大学鍼灸学部卒業
2010年 出張専門 睦訪問鍼灸 開業
2013年 美容鍼灸MuA 開業
2017年 株式会社カラダミライラボにて社外取締役として治療院運営補佐業務やコンサルティング業務に従事
2020年 都内にて一人治療家向けの情報発信を目的とした治療院を再開業

-常に変わったことをやっていたい-

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村中 僚太(以下、Ryota):むつよ先生、本日はよろしくお願いします。早速ですが、先生の学生時代、そしてどういった経緯で鍼灸師になることを決めたのか教えていただけますか?

鈴木 睦代(以下、むつよ先生):よろしくお願いします。 学生時代は割と活発でしたよ。目立つことが割と好きだったので生徒会をやったり、陸上部のキャプテンをやったりしていました。

Ryota:陸上は何の競技ですか?

むつよ先生:ハードルですね。インターハイの準決勝までいったりしました。しかし絶対にこれで一位になることは出来ないなと悟ったので辞めました。
昔から変わったところで変わったことをやっていたい。という気持ちがあって、常に1番、2番くらいになれるものを選んでやっていました。ハードルを選んだのも、ハードルは陸上の中でマイナーといえばマイナーなので、そういう意味では負けず嫌いなんだと思います。 常に尖ったことをやっていたいというか(笑)

Ryota:その尖ったことというところから、鍼灸というのがあまり結びつかないのですが、鍼灸師になろうと思ったのはどういった経緯ですか?

むつよ先生:鍼灸を選んだ理由は看護師や理学療法士も選択肢としてあったのですが、基本的に上司や上がいないと出来ない仕事なので、一人で出来る仕事で変わった仕事がしたかったので、鍼灸師になろうと思いました。

-鍼をうつことにこだわりがない。そして施術以外に興味がある-

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Ryota:それから実際に鍼灸の学校に入ってからはどうでしたか?

むつよ先生:まず初めに先生から「この中で食っていけるのは100人中3人くらいだ。」みたいなことを言われました。

Ryota:どの学校でも言われるんですね。そういうの(笑)

むつよ先生:多分うちの大学の先生達は業界の中ではエリートの方達だと思うんですが、そもそも稼げない業界だ。みたいなことは結構言われてましたね。 だから私は「みんな稼ぐ気ないならラッキーと思っていましたね(笑)」 私は最初から◯◯流とか、技術を極めたりとか、学術的なことを突き詰めたりとか、言ってしまえば鍼をうつこと自体にもこだわりが無かったので、この業界の中でどうやって自分のポジションを作って生きていこうということを考えていました。そこは今もブレていないですね。だから鍼灸師の人達が治療技術を磨いて、患者さんに喜んでもらって、自分も楽しいって言ってる姿って、本当に凄いと思います、自分が出来ないことなので尊敬します。

Ryota:資格を取って鍼灸師になってからはどうでしたか?

むつよ先生:大学を卒業して最初に就職したのは出張専門の鍼灸院でした。 今思うと労働環境はかなりブラックな治療院でした。本当に自分の人生でどん底の時代でしたね。しかしそこで勉強になったのは鍼灸師に治療される患者さんよりも、鍼灸師の方がよっぽどやばいんじゃないか?ということです。 どういうことかと言うと、雇う側も、雇われる側も今まで鍼灸の勉強しかしてきていないので経営とか、マネジメントとか、労働環境のこととかわからないですよね。そこから、鍼灸師の人はかなり困っている人が多いんじゃないかってことを感じました。

-私にとっての開業は鍼灸師の人たちを助けるための、壮大な実験-

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Ryota:そこを辞めてからはどうされたのですか?

むつよ先生:そこを退職し、次の日にはもう出張専門の鍼灸院を開業しましたね。
前の治療院から担当していた患者さん3人がついてきてくれましたが、ほとんどコネも無かったので、ダメだったら水商売でもやって稼いでやろうと思っていました(笑) しかしその最初の3人が口コミで色んな人を紹介してくださり、そこからじわじわと広がっていきました。実際にやった集客方法といえばホームページを作ったくらいでしたね。
結局京都でその出張専門の院を3年、地元の三重でマンション、テナント開業を5年やってから、3年前に都内に引っ越してきました。
私にとっての開業は鍼灸師の人たちを助けるための、壮大な実験だと思ってやっていたので、開業してそこで根を張ってやっていくとか、バリバリ稼ぐとかは無かったです。開業のやり方を教えるために色んな業態で全部自分でやってみました。全部やってきて、それぞれのメリット、デメリットを知っているので、どれが良いというのは無いんですよね。 例えばマンション開業の場合、立地はあまり関係ありません。テナント開業の場合は少し高くつきますが看板を出したりできるので、立地にこだわらないともったいないと思います。そういった違いを全部自分でやったからこそ、これから開業しようと思っている鍼灸師さんに具体的なアドバイスができると思います。

Ryota:鍼灸師としての開業スタイルを全部自分でやられたんですね。東京に来られてからの最近の3年はどうですか?

むつよ先生:東京に出てきてからは、治療家さん向けに情報発信をしている会社に就職させてもらいました。一人で開業し8年ほどが経っていたので一人で出来ることはほとんどやり尽くした感があったのは大きいです。臨床も入社当初はやらせてもらっていたのですが、私よりも治療が好きで、技術ある先生たちが経営で上手くいっていないのを目の当たりにし、そこからは臨床を辞めて治療家さん向けの記事を書いたり、セミナーなど開業にかかわるノウハウをお伝えしてきました。 そんな中、人に教えるのも良いけど、実際に自分が開業している姿を、ドキュメンタリー形式で見てもらうことが一番価値があるのではないかと思い、コロナ禍の昨年3月に都内で3坪治療院をオープンしました。

-私が鍼灸師の苦手なところをお助けして、その鍼灸師達が患者さんを助けることで結果的に多くの人を助けることが出来る世界-

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Ryota:鍼灸学生やこれからの若い世代に一言お願いします。

むつよ先生:鍼灸以外の勉強とか経験を積んでほしいですね。 私は学生時代、鍼灸のセミナーや、勉強会にほとんど参加しませんでした。 ホテルのアルバイトをしていました。

Ryota:僕もです。学生は学校を卒業して、国家資格を取ったら大体鍼灸師として働くんですよ。だから他のことやったら良いのになーと思います。

むつよ先生:そうですね。鍼灸以外の業界を学生時代から見ることで、実際に免許を取って就職する際、ブラック企業を避けることが出来たり、鍼灸業界のことも俯瞰してみれるような目線を身につけて欲しいです。 何かスポーツや趣味でも何でも良いので、鍼灸以外のアイデンティティ、キーワードを持った鍼灸師になって欲しいですね。

Ryota:では最後にこれからの活動について教えてください

むつよ先生:鍼灸師の苦手なことを、鍼灸師である私の立場から解決できる活動をもっとやっていきたいです。 先にも述べましたが、鍼灸師は経営やマネジメントの勉強をほとんど学校で教わることがないので、出来なくて当たり前なんですよ。 私は本当にたまたま、そういうところに興味があるし、好きだし得意なんです。
鍼灸師は「先生」と呼ばれる立場上、弱みを見せづらいのかもしれませんが、悩んでいるなら悩んでいる。と私にいって欲しい(笑)
私が鍼灸師さんの苦手なところを助け、その鍼灸師さん達が患者さんを助け、結果的に多くの人を助けることが出来る世界が理想です。 経営の基本的な所さえ出来たら、経営で悩む鍼灸師が減り、幸せな鍼灸師が増えます。それが業界全体が良くなっていくことだと思います。
私が行うコンサルは『どれだけその人の目標や性格に、その開業スタイルが合っているか。』というところに注目してやっていくので「それはだめだよー。」とか言うことはありません。
例えば「土曜は営業した方が良いですか?」と質問されたりしますが、土曜日営業して売り上げが上がったとして、本当にその生活はその人にとって理想とする生活なのか。その辺りまで深くお話させて頂き、アドバイスをさせていただいています。Twitterをやらせてもらっていて、ありがたいことに色んな人にフォローしていただいているので、ぜひ気軽にTwitterのDMを通して、悩みを相談してもらえればと思います。

あとがき〜『治療じゃない鍼灸師』鈴木 睦代(むつよ)先生

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「私隠すモノ何も無いですから。」
インタビュー冒頭でそうお答えしてもらった通り、ざっくばらんに色々とお話しさせていただきました。
いつもTwitterで鍼灸師や鍼灸業界について、本質をついた的確なツイートで多くの反響を集めるむつよ先生。 今回お話しするのは初めてでしたが、一つ一つの言葉が的確でありながら、押し付けがましく無く、頭の回転がすごく早い人だなという印象をインタビューから感じました。 色々あった雇われ時代から、往診開業、自宅、テナント開業全部、自分でやったからこそわかる。これから開業したい人が、具体的にどうしていけば良いかというアドバイス。 他のコンサルは苦手でも、むつよ先生になら相談してみようかなーと思う人が多いのも頷けます。
普通に経営できる鍼灸師が増えることによって、業界全体が良くなると信じ、行動を続けるむつよ先生。これからの活躍にますます期待できそうです!

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