はじめに

運動不足でお悩みの方はいるのではないでしょうか?
しなくちゃいけないと頭で理解していても、なかなか行動に移すのは難しいものです。

特に今までまったく運動をしてこなかった人には、尚更かもしれません。
しかし、少しの運動でも運動不足は簡単に解消できます。

どういう人が運動不足なの?

運動不足とは普段の運動が足りていない状態を言います。

では、どんな人が運動不足になりやすいのでしょうか。
英国心理学協会のブログによると、研究の対象者がわずか60人というものの「よく考えるタイプの人は運動不足になりがちです」※1 との結果だったそうです。

大勢のよく考える人たちが運動不足ということではないです。
「面倒だから」、「スポーツが嫌いだから」、「時間がないから」と理由をつけて運動から逃げては健康にはなれません。運動不足になるとさまざまな病気を引き起こしてしまう元となるのでしっかり改善しましょう。

ちょっとしたウォーキングや、エスカレーターを使わず、歩いてみるなどでも構いません。
普段動かなかった分、動いた後に気持ちよさを感じ、少しずつ運動をする習慣がついていくでしょう。

それでも運動をしたくないという人は、次の項目で紹介する運動不足が引き起こす恐ろしい病気を読んでみましょう。考え方が変わるかもしれません。

※1 引用元:英国心理学協会のブログ「Research Digest」
https://digest.bps.org.uk/2016/08/06/are-brainy-people-lazy-need-for-cognition-correlates-with-less-physical-activity/

運動不足が引き起こす3つの恐ろしい病気

健康に良くないと言われる運動不足ですが、運動をしないとどのような病気になってしまうのでしょうか?
この項目では、運動不足が引き起こす恐ろしい病気を3つご紹介します。

1. 心筋梗塞や脳梗塞
年を取ると体中の筋肉が少しづつ落ちてきます。
筋肉は、血管を圧迫して全身に血液が流れるように心臓の補助的な役割を担っています。
ですので、筋肉量が減少すると血液の流れが悪くなることで血管が詰まりやすくなり、心筋梗塞や脳梗塞へと繋がっていく危険性が増します。
コレステロールや中性脂肪が高い方であれば、なおさらです。

心筋梗塞や脳梗塞を起こさないためにも、運動不足を解消し、筋肉の衰えを防ぐことが大切です。

2. 糖尿病
こちらも、知らない人がいないくらい有名な恐ろしい病気の一つです。
運動不足は、血糖値下げるホルモンであるインシュリンの働きを悪くさせ、血糖値が上昇したまま、下がらない状態を引き起こします。そうなると糖尿病を発症してしまう恐れがあります。

糖尿病が進むと、腎不全や失明する恐れもあります。
また、糖尿病は一度患ってしまうと完治が難しい病気と言われ、定期的にクリニックに通院しなければならない病気です。

糖尿病を防ぐためにも、運動をして食事により摂取したエネルギー源を消費しましょう。
糖質を取りすぎた時は、運動をすることにより、上昇した血糖値を下げることもできます。
また、糖尿病予備軍の方や血糖値が上がりやすい方は、糖尿病を防ぐために食後1時間たった後ぐらいに運動し血糖値を下げることも大切です。

3. うつ病
近年増えている病気の一つがうつ病です。
上手くストレスが解消できずに溜まり過ぎてしまうことで発症することがあります。
うつ病が進行すると仕事をすることはもちろん、何もする気力が湧いてこなくなることもあります。
また、ネガティブ思考に陥りやすく、人間関係にも支障をきたすなど、社会的関係性においても問題となることもあります。
最悪の場合、命にかかわるケースも少なくないようです。

そうならないためにも、運動をしてストレスを解消するのが大切になってきます。
軽い運動でも構いません。また、できるだけ運動をするときは、太陽の光を浴びるためにも、屋外での運動を心がけるようにしましょう。

日光を浴びることは、ホルモン分泌を促したり自律神経バランスを整える働きもあるため、自然と元気が出ます。

実は若い人も運動不足!?

最近は20代、30代の方々の運動不足が深刻化しています。
社会人になる前に運動をしていた人でも社会人になると一気に運動をする機会が減り、仕事の事や人生のことでストレスを抱えることが多くなります。また、学生時代と比べて生活リズムが乱れたりきちんとした食事をする時間も取れにくくなったりと栄養不足にもなりがちです。

そのため、20代や30代の方でも中年以降に発症する生活習慣病や体力低下の衰えが見えはじめる人もでてきたり、筋力低下による転倒での怪我が若者でも増えてきています。
さらに、運動不足が続くと、20代から加齢臭が漂ったり、不眠やうつなどの症状が現れることもあります。

このようなことにならないために、20代、30代から運動を定期的にすることで心身ともに元気にする必要があります。

そもそも運動不足はどこからが運動不足なの?

運動不足ってどこからなの?

『一般論で定義づけると、1週間のうちに3回以上、30分をこす持続した運動をしていれば、運動不足ではありません』
『摂取カロリーが消費カロリーを上回った状態』
『生体が日常的に健康に機能するための必要最低限な運動量が不足した状態』

と様々な定義がありますので、正直どのくらい運動した方が良いかは人それぞれ多少変わってくると思います。
ですので、あくまで目安にはなりますが、これから運動を始める方は以下を参考にしてみてはどうでしょうか。

厚生労働省の指針として「今より10分多くからだを動かしましょう」という指針があります。
まずは、普段より10分多く歩いてみる、階段の利用頻度を増やす、サイクリングしてみる等、普段の生活の中から少し変えてみるということを心がけるのが良いのかもしれません。

また、体が徐々になれてきたら、ウォーキング、ランニング、エアロビ、サイクリングなどなんでも良いので、週1〜2と継続できる有酸素運動をする事をおすすめします。

運動不足の度合いをチェックしてみよう!

あなたの運動不足度をチェックしましょう!質問は15個あります。
(*参照:公益財団法人 健康・体力づくり事業財団)

◇1日平均15分以上の運動をしていない
◇座ってする仕事が多い
◇10kg以上の重いものを持つことが殆どない
◇通勤は車やバイク
◇休日は外出よりごろ寝
◇帰宅は夜遅い
◇あまり歩かない(1日6000歩以下)
◇あれば必ずエスカレーターにのる
◇お腹が特に太くなってきた
◇近距離でも電車・バス内で立つのはおっくうだ
◇階段や坂道で同世代の人に遅れる
◇階段や坂道で息切れがひどい
◇仕事が忙しくて運動なんてできない
◇若いときに十分運動したからだいじょうぶだ
◇「あれとって」「これとって」の生活をしている

●あてはまる数が0~2個
あなたの日常生活での運動はまず問題ありません。
現状を維持して下さい。

●あてはまる数が3~5個
少し運動不足気味です。
もう少し日常生活を工夫し、運動量を増やしましょう。

●あてはまる数が6~8個
かなり運動不足です。
日常生活を工夫し、運動習慣を獲得しましょう。

●あてはまる数が9~15個
完全な運動不足です。
手遅れにならない内に、少しでも多く動くことを心がけ、運動を習慣づけて行きましょう!

いかがでしたでしょうか?あなたはどの結果になりましたか?
悪かった方は、日頃の運動不足を解消する為に少しでも動く事を今日から心がけて少しずつ改善していきましょう。

普段の中で無理なくできる運動不足を解消する方法をご紹介!

誰にでもできる運動不足を解消する方法をご紹介します。
簡単なので、ぜひやってみてください。

・電車・バスに乗ったとき椅子に座らずに、立つようにする
これだけで座っているときと比べて消費カロリーは約2倍になります。
仕事で疲れて座りたい気持ちもわかりますが、少しだけでも立つように心がけてみてください。

・エレベーターや、エスカレーターをなるべく使わないようにする
まずは、通勤のときだけでも構いません。
階段を上り下りするだけでも運動不足の解消につながります。

・座っている状態で膝を軽く上下する
デスクワークの場合は座っている状態で、膝を軽く上下させてみてください。
忙しくて運動をする暇がないという人でも大丈夫です。これだけで腹筋が鍛えられます。

このように、日常のちょっとした動作の中でも簡単に運動不足は解消できます。

まとめ

今回の記事を通して、運動をすることの大切さをご理解いただけたらと思います。

決してジムに行ってハードなトレーニングをしなければいけない、というわけではないです。
少しの運動の積み重ねが大切になってきます。

簡単な運動でも、意識を変えて習慣にすることで多くの成果を生むことが可能です。
運動不足を解消して、健康な体を維持しましょう。

監修

・総合診療医 院長 豊田 早苗

専門分野 
総合診療医

経歴
鳥取大学医学部医学科卒業。2001年 医師国家試験取得。
2006年とよだクリニック開業。
2014年認知症予防・リハビリのための脳トレーニングの推進および脳トレパズルの制作・研究を行う認知症予防・リハビリセンターを開設。

資格
医師免許

所属学会:総合診療医学会、認知症予防学会

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