はじめに

最近、目が痛い、ショボショボすると悩んでいませんか?
ただの疲れだろうと思っていてもなかなか症状がとれない方は眼精疲労なのかもしれません。

では、眼精疲労はどうすれば良くなるのでしょうか。

眼精疲労とは

目が疲れる、目が痛いという症状は日常生活の中で感じやすいものです。そして、大抵の場合は自然と治ってしまいます。

しかし、普段であればいつの間にか症状が無くなっているのに、いつまでも症状が消失しなかったり、目以外にも酷い肩こりや頭痛、吐き気等、身体症状が現れてしまう場合があります。医学的にこのような状態を眼精疲労と呼びます。

眼精疲労は放っておいても生活習慣や環境を変えない限り、自然治癒するものではありません。不快な症状が治まらず、症状が悪化してしまうこともありますし、眼精疲労の背後に思わぬ疾患が隠れている事もあるのです。

「ただの目の疲れだしそのうち治るだろう」と楽観視せずに、症状が酷いなと思ったら医療機関を受診する事をお勧めします。

眼精疲労のメカニズム

目は光を感知し、光から情報を受ける大切な感覚器官です。左右の目から入った光や色の情報は、視神経を通って大脳にある視覚野に伝達されます。私たちの目は近くを見る時は目の筋肉を使って水晶体を厚くし、遠くを見る時は水晶体を薄くして物を見ています。涙腺から出る涙は眠っている時以外常に流れ、これにより目に潤いを与えてゴミを洗い流して目を殺菌しているのです。

つまり、日常生活において目は常にフル稼働しているのです。目が疲れた、目が痛い、ショボショボするといった様々な症状がありますが、これらの症状の殆どは目の周りの筋肉が緊張する事で起こります。

眼精疲労の主な症状として、目の激しい疲れ、ドライアイ、視力の低下、目の充血、目の痛み、肩こり、頭痛、目や瞼の痙攣、吐き気、食欲不振が挙げられます。

眼精疲労と目の疲れの違い

眼精疲労と目の疲れは同じじゃないの?と思う方も多いかもしれませんが、実は違うのです。この2つの大きな違いは症状の重さです。

眼精疲労は目の疲労感や痛みの他、肩こり、頭痛等、身体の他の部位にも症状が出現し、慢性的に繰り返されます。そして眼精疲労は生活習慣や環境を整えるといった改善的措置が必要です。

一方、目の疲れは一時的なものです。こちらの症状は睡眠や休息によって解消されるので、身体の他の部位に症状が出現する事はありません。

この2つの違いを簡潔に言うと眼精疲労は重度の症状、目の疲れは軽度の症状です。

眼精疲労の原因

眼精疲労の改善の為には生活習慣の改善や環境を変える事は述べましたが、では、何故、眼精疲労は起こってしまうのでしょうか。

目を長時間酷使する事による眼精疲労

現代人の生活は物が溢れていて凄く便利ですが、眼精疲労を起こす要因が沢山潜んでいます。テレビを長時間見る、勉強をしていて近くを見続ける、こういった事も目を酷使しています。

その中でも眼精疲労の原因になっているのは、近年急速に生活の中に浸透しているスマホやタブレット、パソコンです。現代人は近くの物を見る生活が多いですが、スマホやタブレットの登場により、その距離が45cmから15cmと今までより更に近くなってしまったんですね。物を近くで見続ける事で、目を酷使してしまい、目のピント調節する力が低下し、夕方になると老眼のように近くの物がぼやけて見えてしまう症状が出てしまいます。

目には水晶体があって、カメラのレンズのような役割をしています。その水晶体のピントを調節しているのが、毛様体筋という筋肉です。近くの物を見続けるという事は、毛様体筋を緊張させ続ける事になり、大きな負担をかけてしまうのです。

また、スマホやタブレット、パソコンは強い光を発しています。その為、目に入る光の量を抑える役割を担っている虹彩筋も酷使します。

そして部屋を暗い状態でスマホを弄っている方も多いと思います。寝る前に布団に入ってから、スマホを弄っている方は心当たりがあるのではないでしょうか?これにより、スマホとの距離が更に近くなってしまうので、眼精疲労を招く原因となります。

眼病

近視や、遠視、乱視が進むと、物をよく見ようとして目の疲れを増長してしまう事があります。

そして自分に合っていないメガネやコンタクトレンズを使っている場合、目の矯正が出来ていないので眼精疲労を招いてしまう事もあるのです。

それ以外にドライアイ、緑内障、白内障といった眼病も眼精疲労の原因になります。

また精神的なストレスも目に影響を及ぼす事があり、眼精疲労を引き起こしてしまう場合があります。

眼精疲労の予防

眼精疲労の予防の簡単な方法が3つあります。目を酷使したと思ったら、これらを行って眼精疲労になるのを防ぎましょう。

まばたき

まばたきによって虹彩の筋肉、毛様体筋のストレッチになります。

目を開いている時は光を感じ、物を見ようとするので筋肉を使います。そして目を閉じている時は筋肉が緩み、リラックスした状態になります。

まばたきを繰り返すと凝り固まった筋肉が解れて、血流が改善さます。また、まばたきをすると、涙腺から水分と油分が出るのでドライアイの改善にも繋がります。

睡眠

目を閉じると眼球が瞼の上の方に向くのでリラックス出来ます。また、熟睡すると黒目が瞼の上方に移動し、光を感知しなくなります。目の中に光が入らない事が眼球を休ませる大事なポイントです。

つまり十分な睡眠を得る事が目を休ませる事に繋がります。

目を温める

眼球やその周辺を温めると血流が良くなります。

目の周りには交感神経と副交感神経に切り替わるスイッチがあります。副交感神経が優位になると、リラックス効果が増したり、筋肉を解してくれるので疲労物質が取り除かれます。

目を酷使してしまったと思ったら、蒸しタオル等で目を十分に温めてあげましょう。

眼精疲労の治し方

眼精疲労は様々な要因が考えられますので、眼科を受診して調べてもらうことが大切になります。その上で対処法を覚えておきましょう。

・パソコンやスマホを1時間使ったら10分程度の休憩を挟みましょう。
・睡眠時間を確保して目を休めましょう
・目の周辺を温めましょう
・目の充血が酷い場合や目の痛みが強い場合は炎症を起こしている可能性があるので、温めずに冷やしましょう。
・症状に合った目薬を使用しましょう

まとめ

眼精疲労は目の疲れや痛みが取れない状態を言います。
眼精疲労をは目を酷使したり、眼病が原因で起こります。

近年、時に原因として挙げられるのはスマホやタブレット、パソコンの長時間の使用です。
眼精疲労の予防法としてはまばたき、睡眠、目を温める事です。

眼精疲労かもと思ったら早めに医療機関を受診する事をお勧めします。

監修

・総合診療医 院長 豊田 早苗

専門分野 
総合診療医

経歴
鳥取大学医学部医学科卒業。2001年 医師国家試験取得。
2006年とよだクリニック開業。
2014年認知症予防・リハビリのための脳トレーニングの推進および脳トレパズルの制作・研究を行う認知症予防・リハビリセンターを開設。

資格
医師免許

所属学会:総合診療医学会、認知症予防学会

関連する記事